2015年10月25日日曜日

Michael Boltonさん、父娘愛を歌う

風が強く、寒くなってきたけれど、窓から差す日の光は温かい。
ひるめし、と、のんびりパスタを茹でつつ、ネット・サーフしていたら、マイケル・ボルトンさんの記事に行き当たりました。

マイケル・ボルトンの新曲「Father and Daughters」のリリックビデオが公開、映画『パパが遺した物語』のテーマ曲  Amass


お元気そうだし、相変わらずスウィートな声。映画の主題歌ということで歌詞を読む限り、まんま映画のストーリーのような気がします。実にストレート。
彼については、いつだってラブ・ソングを歌っていて欲しいと願っているけれど、今回は「父と娘」っていう形を変えたラブ・ソングということで、これはこれでいい。

こういうの、僕はわかっててほろりときてしまうので、見ないですけど。くやしいじゃないですか。わー!このままでは、ちきゅうが、めちゃくちゃになっちゃう!!みたいな、バカっぽくて爽快なやつのほうがいい。
予告編でお腹いっぱい。



普段はメタルやらなんやらいってますが、本来僕は甘く切ないロック・バラードが大好物です。AORが僕の主戦場であります。AORについて講釈たれてやろう、と思ってググったんですけど僕の認識がちょっと違っていてびっくり。

AOR  Wikipedia

僕のいうAORは3番目の"Adult Oriented Rock" 。おっさんが楽しい音楽。ミッドテンポ、甘くて、どこかアーバンな雰囲気を醸し出しているロック。バーとかでよくかかっている。AORの王様といえばやっぱりボズ・スキャッグスですよ。"We are all alone"ですよ。

アメリにはAORばっかりかかっているチャンネルがあって、僕が想像していたAORとはそんなに変わらないので違和感はなかった。ははーん。これが本場の音だな、とニヤリとしたもんですけど、若干ミスリードしていたことになります。
本来の意味合いとしては、1番目の"Audio Oriented Rock"「専らスピーカーを通じて聴く音楽」ということだったんですね。"Adult Contemporary"とか、単語はよく聞くな。
もちろん、ニヤリとしたあとにメタル・ステーションにチューニングしましたよ。オジーとか、アイアン・メイデンとかかかっていて、大変愉快なドライブができました。
2番の用法で話をしているのは見たことないな。



思い返してみると、どう考えても僕が一番はじめに聴いたのは「我が心のジョージア」です。缶コーヒーのコマーシャルで使われてたやつ。これはテレビで見た。でもCDを買うきっかけは、「男が女を愛するとき」だと思う。
どうやって僕はこの曲を知ったのだろう。やっぱりコマーシャルだったのか。


みんな知ってるでしょう?

いずれにしても、「男が女を愛するとき」という中学生にはいささか刺激的な邦題と、「マイケルなんちゃら」という手がかりとおこづかいを携えレコードショップにいった。そして、さっぱり見つからない。
中学生なので当然、英語の授業も始まっていたはず。今にして思えば、「男が女を愛するとき」という邦題を直訳で英語に変えてみれば、割とすなおに行き当たりそうなもんだと思うんだけど。
授業と実生活はなかなか結びつかない。そうだそうだ。


探しあぐねたあげく、最初に手に入れたマイケル・ボルトンのレコードは"One Thing"。
たぶんね、池袋西武の上にあったWAVEで買った。輸入盤で買ったんだよ。ピリピリと封印を剥がした記憶があるもの。

One Thing
One Thing
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Michael Bolton
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残念ながら"When a Man Loves a Woman"はこの一つ前のレコードだったんですね。おしい。
いそいそと買って戻ってきて、ラジカセに突っ込むわけですけれど、期待した曲は入っていません。それはがっかりして、投げてました。

がっかり感のあまり、しばらくうっちゃられていた可哀想な"One Thing"であったのだけれども、しばらくして聴きなおしてみると、とても良い。そういうことはしばしば、後で気がつく。
ということで、未だに実家に眠っているはずです。


ボルトンさんに於かれましては、当時からすでに頭髪に問題を抱えていることは明らかだったのに、20年を経た現在でも残存本数が確保されているようです。これはひとつの奇跡と呼んで差し支えないのではないでしょうか。

何年ぶりに聴いたのか。おしゃれで、メロウで、力強い。AORの文法に法った、実に素敵な曲です。60歳を過ぎているだろうけれど、声に衰えはない。
当時から彼の声は荒れ気味だったけれども、パーンと響く。コーラスの艶やかなファルセットにグッときた、当時のことを思い出した。


英語の話に戻ると、当時はほとんど意味を解していなかったな、ということがわかりました。つーか歌詞は読んでなかった。今回はじめて読んだ。僕の良し悪しの判断基準は、あくまでメロディだった、のだな。
「君に愛してると云った でもそれはウソなんだ だって僕は君に、愛以上のなにかを感じていたから」って素敵です。アメリカっぽくて。
このフレーズをどこで使えばいいのかさっぱりわかんないけども。

中二病患者としては、"…I hurt myself today, "ときたほうがシビれる。それはそうなんだけど、そんなAORあるはずないじゃない。いい大人はリスカなんかしないんだから。
「自分の含め、誰も傷つけない大人」に、なってしまった人のための音楽。AORをそんな風に捉えると、80年代以降、ずっと安定した人気を保つこのジャンルの理由が見ててくるかもしれません。

ボルトンさんの歌は文法も明瞭であんまりお下劣ワード出てこないので、当時の僕に、読め、と言ってやりたい。当時のシミズ少年には愛だのなんだの、ってピンと来ない気はするけれど。

…愛ってなんだろう。愛以上のなにかって、なんなのさ。。