あっという間に年末ですね。こんな時期になってきました。
16年はこんな音楽を聴いていたよ
15年はこんな音楽を聴いていたよ
12年はこんな音楽を聴いていたよ
11年はこんな音楽をきいていたよ
毎年必ずやっていると思ってたんだけど、13・14年が抜けていた。
2011年はもう6年も前。ベトナムに往った年、は遠くになりにけり。
しかし、その時々に僕が喜々として貼った音楽は、今見てもそんなに違和感がない。
どうも、僕は地続きである。
2011年の僕が今年のレコードを聴いたって、悪いとは思わないはずだ。
なにしろそいつは僕だからね。
私はどうも、私を私と呼べる程度の一貫性はあるようだ。
突然、超絶に成長してミラクルな自分に逢えるのではないか。どこかでそんなことを考えてもみる。突然、詩歌に長ずるだとか、頭の中で樹冠解析ができるようになるだとか、イチローよりもヒットが打てるとか。
まあ、ない。つーか、ないだろ。
それはたいそう残念なことであるけれども、いまここにいるわたくしが、昨日を踏まえたわたくしであることに、多大な落胆のほか、少しばかりの感謝と安心感を憶える。
余談はそれくらいにして、今年の備忘録を。
個人的フジのベストアクト。
フジカエリ'17
その歌声は、仄かなソウル的味わいもあるのだ。
既にたくさん書いたから、もういいや。
今年のベスト・レコードに推す。
ギタープレイは抑え気味で、いわゆる歌もののレコード。
ブルージーで枯れたテイストの近作から一転、瑞々しくておしゃれな仕上がり。
ギタリストとしてのメイヤーを期待する向きには、やや食い足りないか。
しかしそれを補って余りある、メロディの充実。
彼は突出した歌い手ではない。
楽曲だって、どちらかというとオーソドックスな部類だ。
目立った特徴が見いだせないのに、惹き込んでしまう不思議。
よくよく練りこまれた楽曲と、彼の声に落とし込まれてしまうのだ。首尾よく。
振り返ってみると、彼の楽曲にはそういうものが多い。
今作はキャリアの中でもキャッチーな部類のレコードだろう。
可愛らしいメロディが全編に散りばめられていて、魅力的な一枚。
婦女子への人気が、一段と上がってしまうことでしょう。
存在はもちろん知っていたんだけれども、今年のフジが初見だったので。
個人的にはリミクサーのイメージが強い。長い間生きていると、「コーネリアス・ミックス」に出くわすのだ。しばしば。
リミックスという仕事は、コンポーザーの固定観念を粉砕する仕事なのだろうと思う。4つ打ちのダンスミックスにするのが仕事ではない。リスナーのみならず、コンポーザーすら瞠目させるような解釈と響き。
これに尽きるのではないか。
関連して。
SalyuとのS(o)un(d)Beam。僕、サリュ好きなんすよ。
このプロジェクトはまったく偉大な仕事でした。
レコードは多重録音。ライブでは彼女の声によく似た3人と。
ものすごい。
さて、コーネリアス。
フジの後に買いましたが、これが良かった。
音数が限られていて、隙間がある平面が用意されていて。
正しい音が、正しい位置にプロットされる。
それらの音が、広々とした空間に、気持ちよく広がる。
どこか、幾何学的美しさが感じられる。
清冽で、完璧なポップ・ソング。
そう表現したい。
今年は物故者が多い。
"Ultramega OK"がリマスター。リイシュー。
92年のライブ。ハイパーな呪詛と形容しよう。
近年も"Beyond The Wheel"は演奏されている。しかし動画を見る限りコーラス部では逃げ気味。仕方ないというか、当たり前だろう。
相応しい、しなやかさと出力を持っていた時代の曲。と、いうことなのだろうと思うよ。
25年くらい、時が流れて。
最期のシングル、という認識でよいのだろう。
往時の歌唱から比べると、見劣りする。
彼の声音は今や、風の音のようだ。
歌い手の出力や調整の成果が、歌の上手さであるのならば、クリスは四半世紀前よりも下手になったというべきだ。
レーザーみたいに声を集束させることができた時代と比較すると。
オリンピック的、アスリート的な意味合いに於いて。
しかし特に最近は、アスリート的歌唱から離れて、彼の声の「鳴り」を楽しんでいたと思う。あるキーをクリスが発声する。その中にはいくつもの音が、ささくれだったり、調和したりしながら、なんだかやわやわとしたまとまりとなり、そのキーとして発声される。
頭のなかで、分解され、再合成される。特にその必要があるわけではない。
くせ。
美味しい飲み物は、舌に飲み物を置き、口蓋の上部に押し付けるようにして飲む。というか、味わう。そういう種類のくせがある。
あるとき、それ赤ちゃんがおっぱい飲むときと同じやで、と誰かから指摘されて、思わず赤面した。でもね、やっぱりこれが一番飲み物の美味しい飲み方だと思うの。舌に押し付けて、味わうのですよ。
赤ちゃんは天才だし、クリスの歌は二度美味しいし。
なんの話だったか。くせの話だ。
分析と統合。芳醇さを味わい、曲の全体像を把握する。
3分ポップスでもそんなことをしているのか。あんまり自信はない。
でも、分析的に聴いている時と、そうでない時の聴いている音の違いは、自分の中でかなり明確だ。
なんとも知れん、やわやわとしたまとまりに。「風の音」としての彼の声に。
僕は今夜も、これからも耳を澄ます。
なんかメタルは今年は(今年も)耳を引かない1年だった。
Stone SourとNickelbackは良いレコードでした。が、ここで紹介するほどでもない。Linkin Parkのことは既に書いた。
Paladise Lostはあんまりだった。悪い意味で。先祖返りしてしまった。
10年前を思い出すんだ、ニック。
このわたくしにあるまじき、紹介できる新人がひとりもいないという悩みを抱えている。
ということで。このうだつのあがらないおっさんたちを。
軽音部にのめり込んでて気がついたら学生じゃなくなってました、的風情がすでにポイント高い。
ギターのハーモニーって、未だにワクワクする。
2本のギターから、それ以上の厚みが出る感じ。瑞々しさ。
メタルの一番スウィートでワクワクするところ。気持ちよくて、人を元気にするところ。
かつて、私の愛するグランジ・オルタナ・ムーブメントが、この古き善き様式美を完膚なきまでに破砕した。
なんの臆面もなく演奏できているのは40年選手の大御所のIRON MAIDENとかJudas Priestくらいじゃないですか。
とまれ、絶滅はせず、たとえばメロディック・デスはその系譜を継いでいていたし、エモと呼ばれた一部のパンク勢も、トーチを守った。Djentが出てきた後にこうしたものが出てくる。
でもさ、この方法論はもう少し早く復活してもよかった。
多くの人に受け入れられる「気持ちのよさ」を持っていると思うんだ。
まことに、物故者が多くて困ってしまう。
ソロになって2枚目のレコードのリイシュー。90年だったと思う。すごく売れたと記憶している。けれど、僕は3枚目の"Older"派なので、このレコードの印象が薄い。
それから96年のMTVアンプラグドの初CD化・コンパイルされている。
ああ、この頃って「MTVアンプラグド」って流行ったよねぇ。
そして、このアンプラグドがとっても好いのです。
ジョージは、"Older"期の坊ちゃん刈りヘア。
90年代中庸までのジョージは、ソニーとの諍いをはじめ、コンポーザーとしては不遇をかこっていた。
しかし、歌い手としてキャリア・ハイであったし、そのクオリティはポップ・シンガーとして空前の水準であった。個人的最高到達点という程度のものではなくて、「フレディ・マーキュリーの衣鉢を継ぐ人」として、世間的認知があったのだと思う。
寡作の人ではあったし、浮き沈みのある人でもあった。
1つでも傑出したものを生み出して、充実した金色の時間を過ごせたとしたら、それは素晴らしいことだ。
大事なのは、輝かしい時間が永く続くことではなくて、輝きそのものだ。ジョージの才能と名声を考えれば、ずいぶんと謙虚な物言いなのだと思うけれど。
本人が、自らの輝きを知っていたのかどうか。
僕にはわからない。
でもたとえばこんな風に、その輝きは記録されている。
間違いなく一番聴いた。17年に入って、すぐ出たでしょ。これ。
もうさ、有りていに思春期真っ只中な曲なんだけれど、心を動かされちゃうよね。
まだ、僕、道半ばなんで。
エド・シーランの歌唱は、力むと割れがち。そこが好い。
聴き苦しいと解釈したくない。
僕と比べれば彼ははるかに若者だ。しかし、この曲を貫くテーマは思春期の少年少女を相手にしたものではない。思春期を過ぎた、おじさんおばちゃんじゃない若者。最近では。そんな人は、世界中でどんどん増えているだろう。
PVの最後の雰囲気とかね。好いな、と思います。
僕だって、「思春期を過ぎた若者」を任じますからね。こっそりと。
ずいぶん励まされた気になって今日も聴きながら、寒風の中、よろよろと歩を進める。
もちろん"OK Computer"は、90年代を彩る屈指のレコードであります。
"Lift"は、これまで収録されなかった。
このレコードを買うのはこれで3回目。
わずか1曲のためだけに買い直すっていうのは、どうなのか。
期待しすぎていたきらいはある。
しかし、待望の"Lift"は、テンポが遅く感じられたし、コーラスでトムのハーモニーが重ねられすぎだし。
あんまりいうと角が立つ。それでも、僕が聴き慣れたものはこの音源。
僕の中の"Lift"のイデアなの。
トムの透き通った細い声はコーラスで、エドのシンガロングと気持ちよく溶け合う。
近年のレディオヘッドでは感じられなくなった、カタルシスを感じることができる。
なんというか。昇華です。成仏です。
これが"Ok Computer"に入ると、異質なほどメロウで、レコードがこの開放的な色合いに引きずられてしまうかもしれない。レコードの色合いが少し変わったかもしれない。
"Ok Computer"は、歌詞も含め、冷徹な出来であった。ここから"Kid A"まではどんどん温度を下げていく。考え合わせると、蛇足の一曲だったのかもしれない。
その一方で、彼らのキャリアの中で極北(いい意味です)のメロウさを持つ、屈指(もちろんいい意味です)の名曲となってしまった。
さて、もうすでにだいぶ長くなりました。今年のまとめを。
特に、とは申しませんが、それなりに豊穣な1年であり、「それなり」を大事にしなくちゃな、と思ったりするところです。
そして、みなさまという、やわやわとした束に向かって。
本年も各諸姉諸兄の各所へのご尽力に敬意を表しますとともに
来年のみなさまのご多幸、切にお祈り申し上げております。
フォースがあなたとともにあらんことを。良いお年をお迎え下さい。
"Lift”の末尾で締めくくろうかと思います。
今日は、あなたの残りの人生の最初の日
さあ、元気だして、
来年が、善き年になりますように。
来年もまた、素敵な音楽に出会えますように。
16年はこんな音楽を聴いていたよ
15年はこんな音楽を聴いていたよ
12年はこんな音楽を聴いていたよ
11年はこんな音楽をきいていたよ
毎年必ずやっていると思ってたんだけど、13・14年が抜けていた。
2011年はもう6年も前。ベトナムに往った年、は遠くになりにけり。
しかし、その時々に僕が喜々として貼った音楽は、今見てもそんなに違和感がない。
どうも、僕は地続きである。
2011年の僕が今年のレコードを聴いたって、悪いとは思わないはずだ。
なにしろそいつは僕だからね。
私はどうも、私を私と呼べる程度の一貫性はあるようだ。
突然、超絶に成長してミラクルな自分に逢えるのではないか。どこかでそんなことを考えてもみる。突然、詩歌に長ずるだとか、頭の中で樹冠解析ができるようになるだとか、イチローよりもヒットが打てるとか。
まあ、ない。つーか、ないだろ。
それはたいそう残念なことであるけれども、いまここにいるわたくしが、昨日を踏まえたわたくしであることに、多大な落胆のほか、少しばかりの感謝と安心感を憶える。
余談はそれくらいにして、今年の備忘録を。
- Asgeir
個人的フジのベストアクト。フジカエリ'17
その歌声は、仄かなソウル的味わいもあるのだ。
既にたくさん書いたから、もういいや。
今年のベスト・レコードに推す。
Asgeir
One Little Indian (2017-09-29)
売り上げランキング: 9,048
One Little Indian (2017-09-29)
売り上げランキング: 9,048
- John Mayer
これもまた、素晴らしいレコードでした。
John Mayer
Sony (2017-04-14)
売り上げランキング: 5,379
Sony (2017-04-14)
売り上げランキング: 5,379
ギタープレイは抑え気味で、いわゆる歌もののレコード。
ブルージーで枯れたテイストの近作から一転、瑞々しくておしゃれな仕上がり。
ギタリストとしてのメイヤーを期待する向きには、やや食い足りないか。
しかしそれを補って余りある、メロディの充実。
彼は突出した歌い手ではない。
楽曲だって、どちらかというとオーソドックスな部類だ。
目立った特徴が見いだせないのに、惹き込んでしまう不思議。
よくよく練りこまれた楽曲と、彼の声に落とし込まれてしまうのだ。首尾よく。
振り返ってみると、彼の楽曲にはそういうものが多い。
今作はキャリアの中でもキャッチーな部類のレコードだろう。
可愛らしいメロディが全編に散りばめられていて、魅力的な一枚。
婦女子への人気が、一段と上がってしまうことでしょう。
- Cornelius
存在はもちろん知っていたんだけれども、今年のフジが初見だったので。個人的にはリミクサーのイメージが強い。長い間生きていると、「コーネリアス・ミックス」に出くわすのだ。しばしば。
リミックスという仕事は、コンポーザーの固定観念を粉砕する仕事なのだろうと思う。4つ打ちのダンスミックスにするのが仕事ではない。リスナーのみならず、コンポーザーすら瞠目させるような解釈と響き。
これに尽きるのではないか。
関連して。
SalyuとのS(o)un(d)Beam。僕、サリュ好きなんすよ。
このプロジェクトはまったく偉大な仕事でした。
レコードは多重録音。ライブでは彼女の声によく似た3人と。
ものすごい。
さて、コーネリアス。
フジの後に買いましたが、これが良かった。
音数が限られていて、隙間がある平面が用意されていて。
正しい音が、正しい位置にプロットされる。
それらの音が、広々とした空間に、気持ちよく広がる。
どこか、幾何学的美しさが感じられる。
清冽で、完璧なポップ・ソング。
そう表現したい。
CORNELIUS
ワーナーミュージック・ジャパン (2017-06-28)
売り上げランキング: 2,249
ワーナーミュージック・ジャパン (2017-06-28)
売り上げランキング: 2,249
- Chris Cornell
今年は物故者が多い。
SOUNDGARDEN
OCTAVE/SUB POP (2017-08-02)
売り上げランキング: 84,752
OCTAVE/SUB POP (2017-08-02)
売り上げランキング: 84,752
"Ultramega OK"がリマスター。リイシュー。
92年のライブ。ハイパーな呪詛と形容しよう。
近年も"Beyond The Wheel"は演奏されている。しかし動画を見る限りコーラス部では逃げ気味。仕方ないというか、当たり前だろう。
相応しい、しなやかさと出力を持っていた時代の曲。と、いうことなのだろうと思うよ。
25年くらい、時が流れて。
最期のシングル、という認識でよいのだろう。
往時の歌唱から比べると、見劣りする。
彼の声音は今や、風の音のようだ。
歌い手の出力や調整の成果が、歌の上手さであるのならば、クリスは四半世紀前よりも下手になったというべきだ。
レーザーみたいに声を集束させることができた時代と比較すると。
オリンピック的、アスリート的な意味合いに於いて。
しかし特に最近は、アスリート的歌唱から離れて、彼の声の「鳴り」を楽しんでいたと思う。あるキーをクリスが発声する。その中にはいくつもの音が、ささくれだったり、調和したりしながら、なんだかやわやわとしたまとまりとなり、そのキーとして発声される。
頭のなかで、分解され、再合成される。特にその必要があるわけではない。
くせ。
美味しい飲み物は、舌に飲み物を置き、口蓋の上部に押し付けるようにして飲む。というか、味わう。そういう種類のくせがある。
あるとき、それ赤ちゃんがおっぱい飲むときと同じやで、と誰かから指摘されて、思わず赤面した。でもね、やっぱりこれが一番飲み物の美味しい飲み方だと思うの。舌に押し付けて、味わうのですよ。
赤ちゃんは天才だし、クリスの歌は二度美味しいし。
なんの話だったか。くせの話だ。
分析と統合。芳醇さを味わい、曲の全体像を把握する。
3分ポップスでもそんなことをしているのか。あんまり自信はない。
でも、分析的に聴いている時と、そうでない時の聴いている音の違いは、自分の中でかなり明確だ。
なんとも知れん、やわやわとしたまとまりに。「風の音」としての彼の声に。
僕は今夜も、これからも耳を澄ます。
- Save Us From the Archon
なんかメタルは今年は(今年も)耳を引かない1年だった。Stone SourとNickelbackは良いレコードでした。が、ここで紹介するほどでもない。Linkin Parkのことは既に書いた。
Paladise Lostはあんまりだった。悪い意味で。先祖返りしてしまった。
10年前を思い出すんだ、ニック。
このわたくしにあるまじき、紹介できる新人がひとりもいないという悩みを抱えている。
ということで。このうだつのあがらないおっさんたちを。
軽音部にのめり込んでて気がついたら学生じゃなくなってました、的風情がすでにポイント高い。
ギターのハーモニーって、未だにワクワクする。
2本のギターから、それ以上の厚みが出る感じ。瑞々しさ。
メタルの一番スウィートでワクワクするところ。気持ちよくて、人を元気にするところ。
かつて、私の愛するグランジ・オルタナ・ムーブメントが、この古き善き様式美を完膚なきまでに破砕した。
なんの臆面もなく演奏できているのは40年選手の大御所のIRON MAIDENとかJudas Priestくらいじゃないですか。
Save Us From the Archon
Tragic Hero Records (2017-05-05)
売り上げランキング: 220,469
Tragic Hero Records (2017-05-05)
売り上げランキング: 220,469
とまれ、絶滅はせず、たとえばメロディック・デスはその系譜を継いでいていたし、エモと呼ばれた一部のパンク勢も、トーチを守った。Djentが出てきた後にこうしたものが出てくる。
でもさ、この方法論はもう少し早く復活してもよかった。
多くの人に受け入れられる「気持ちのよさ」を持っていると思うんだ。
- George Michael
まことに、物故者が多くて困ってしまう。
Sony Music CG (2017-10-20)
ソロになって2枚目のレコードのリイシュー。90年だったと思う。すごく売れたと記憶している。けれど、僕は3枚目の"Older"派なので、このレコードの印象が薄い。
それから96年のMTVアンプラグドの初CD化・コンパイルされている。
ああ、この頃って「MTVアンプラグド」って流行ったよねぇ。
そして、このアンプラグドがとっても好いのです。
ジョージは、"Older"期の坊ちゃん刈りヘア。
90年代中庸までのジョージは、ソニーとの諍いをはじめ、コンポーザーとしては不遇をかこっていた。
しかし、歌い手としてキャリア・ハイであったし、そのクオリティはポップ・シンガーとして空前の水準であった。個人的最高到達点という程度のものではなくて、「フレディ・マーキュリーの衣鉢を継ぐ人」として、世間的認知があったのだと思う。
寡作の人ではあったし、浮き沈みのある人でもあった。
1つでも傑出したものを生み出して、充実した金色の時間を過ごせたとしたら、それは素晴らしいことだ。
大事なのは、輝かしい時間が永く続くことではなくて、輝きそのものだ。ジョージの才能と名声を考えれば、ずいぶんと謙虚な物言いなのだと思うけれど。
本人が、自らの輝きを知っていたのかどうか。
僕にはわからない。
でもたとえばこんな風に、その輝きは記録されている。
- Ed Sheeran
間違いなく一番聴いた。17年に入って、すぐ出たでしょ。これ。もうさ、有りていに思春期真っ只中な曲なんだけれど、心を動かされちゃうよね。
まだ、僕、道半ばなんで。
エド・シーランの歌唱は、力むと割れがち。そこが好い。
聴き苦しいと解釈したくない。
僕と比べれば彼ははるかに若者だ。しかし、この曲を貫くテーマは思春期の少年少女を相手にしたものではない。思春期を過ぎた、おじさんおばちゃんじゃない若者。最近では。そんな人は、世界中でどんどん増えているだろう。
PVの最後の雰囲気とかね。好いな、と思います。
Atlantic Records UK (2017-03-03)
売り上げランキング: 645
売り上げランキング: 645
僕だって、「思春期を過ぎた若者」を任じますからね。こっそりと。
ずいぶん励まされた気になって今日も聴きながら、寒風の中、よろよろと歩を進める。
- Radiohead
もちろん"OK Computer"は、90年代を彩る屈指のレコードであります。"Lift"は、これまで収録されなかった。
このレコードを買うのはこれで3回目。
わずか1曲のためだけに買い直すっていうのは、どうなのか。
XL Recordings (2017-06-23)
売り上げランキング: 2,509
売り上げランキング: 2,509
期待しすぎていたきらいはある。
しかし、待望の"Lift"は、テンポが遅く感じられたし、コーラスでトムのハーモニーが重ねられすぎだし。
あんまりいうと角が立つ。それでも、僕が聴き慣れたものはこの音源。
僕の中の"Lift"のイデアなの。
トムの透き通った細い声はコーラスで、エドのシンガロングと気持ちよく溶け合う。
近年のレディオヘッドでは感じられなくなった、カタルシスを感じることができる。
なんというか。昇華です。成仏です。
これが"Ok Computer"に入ると、異質なほどメロウで、レコードがこの開放的な色合いに引きずられてしまうかもしれない。レコードの色合いが少し変わったかもしれない。
"Ok Computer"は、歌詞も含め、冷徹な出来であった。ここから"Kid A"まではどんどん温度を下げていく。考え合わせると、蛇足の一曲だったのかもしれない。
その一方で、彼らのキャリアの中で極北(いい意味です)のメロウさを持つ、屈指(もちろんいい意味です)の名曲となってしまった。
さて、もうすでにだいぶ長くなりました。今年のまとめを。
特に、とは申しませんが、それなりに豊穣な1年であり、「それなり」を大事にしなくちゃな、と思ったりするところです。
そして、みなさまという、やわやわとした束に向かって。
本年も各諸姉諸兄の各所へのご尽力に敬意を表しますとともに
来年のみなさまのご多幸、切にお祈り申し上げております。
フォースがあなたとともにあらんことを。良いお年をお迎え下さい。
"Lift”の末尾で締めくくろうかと思います。
今日は、あなたの残りの人生の最初の日
さあ、元気だして、
来年もまた、素敵な音楽に出会えますように。