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2025年4月21日月曜日

施業と材の価値について

詳しい方にお話を伺う機会があったのだけれど、なんだかうまく質問ができなかった。こいつはバカで怠け者なんじゃないかと思われていたかもしれない。そうなんです。バカで怠け者なんです。

2025年3月8日土曜日

万博の大屋根の源流

大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち 日刊ゲンダイ 2.26.2025

こんな記事に出くわして。エコ度ってなんなのさ。

別件で聞いたんだけれども、オリンピック・パラリンピックのときは競技場ほかでの使用のため、材が集められた。万博はそうでもないという話。それどころではないという話。

オリパラみたくちゃんと調達先を絞って発注しろや、というと、まるで当方が意識が高いみたいだ。当然先方だってそんなことを考えているはず。要は、そこまで意識する余裕すらないということだろう。工期だとか人気とりだとか。よく知らないけれど。イベントって大変ですよね、と衷心からお見舞いしてしまう。


一方、フィンランド材はダブついているのか。タブついているわけではないが、調達は国産と比べてたぶん容易だ。北欧は訪れてみたい気持ちはあるけれど、寒いのは苦手だ。

フィンランドの森林は、蓄積量が19億m3、100m3/ha程度だそうで、日本の37億m3、221m3/haの約半分しかない。

万博でどれだけの木材が入用だったかしらないけれども、資源的に少ない国から頂戴するのは確かにおかしなことだな、と思う。

端的に言って、製品としてスタンバってる木材とそうではない、山の中の木を想像してみればいい。実際総説明される。どこかに生産手段がない豊富な地下資源あることと、資源的にはそこそこでも生産手段が整備された場所があること。確実に納期に間に合わせるにはどちらをえらべばいい?「生産手段がない」が20年以上続いているのは御愛嬌なんですけど。


フィンランド 虚像の森   2022/8/24ペッカ・ユンッティ (著), アンナ・ルオホネン (著), イェンニ・ライナ (著)

知らない間に画像付きリンクが貼れなくなっていた。

フィンランドというか、スカンジナビアは「汲めども尽きぬ森」が広がっているイメージ。実際にはそれは違うということは前段のとおり。何が起こっているのか。そんな興味から手に取った一冊。

知らなかったことは多かった。しかし、全世代必読!っていう感じでもない。興味がある向きが、彼の国の様子を伺い知るには良い本だと思いました。

インタビュー/レポルタージュ形式の本って学生のころ大好きだった。本当のことが書いてあるように思えたから。腰が痛い中年となった現在はそうでもない。大好きだったエモーションに胃もたれを感じる年頃になっている。また、必ずしも「本当のこと」が書いてあるわけではないことももう知っている。

キーワードとしては保護と利用の対立、過伐、灌漑による森林の乾地化、になるか。前提条件として、スカンジナビアの森はもちろん有限の森だった。日本の半分ほどの森林蓄積しかない。そして、日本よりずっと寒いから樹木の成長が遅い。

成長量に準じて生産を行うのが、まあ、通常想定される林業のあり方なんだと思う。成長量以上の伐採は過伐と呼ばれ、蓄積量を毀損するからだ。日本はざっくり年間1億m3くらい成長していると言われていて、2千万m3くらいしか伐採していないから、蓄積が毎年増えていく。一方、フィンランドの年間成長量は8千万m3くらいでほぼ同量が伐採されている、とされている。成長量と均衡した生産だから、資源枯渇の心配はないとされる。

しかし、課題とされるのは質の劣化だ。再造林地が不成績であったり、成長促進のため灌漑排水を行っている。灌漑は植林木にとってみれば良いものかもしれないが、その土地の在り様を大きく変える行為ではあって、そこに議論がおこっている。

議論についてなんだけれど、日本でも「自然の権利訴訟」だとかを思い出す。僕の住んでいるあたりは圏央道ができるときずいぶん問題になった。その土地の在り様を変えるにあたって、何かしらの躊躇があってもいい。同時に圏央道ができた効果も見逃せないのだろうと思う。「(原生の)自然」の価値にどれだけ重みをつけるのかが、人によって違うから議論を引き起こすように思えて、それは日本だろうとフィンランドだろうと一緒なのだろう。

一方、気になるのが、森林の平均蓄積量が100m3/haくらいしかないことだ。寒冷で成長が遅い北の大地だから、まあそうなのだろうと思うけれど、本当に積み上げ算で8,000万m3/haの年間成長量があるのか。なんだかそこが微妙な気がしていて、これが実はもっと低いということになれば、彼らの算数は瓦解していることになる。

フィンランドの木材生産量自体は7,000万m3から増加を続け、8,000万m3に到達している。それを維持するための灌漑なのかもしれないし、維持できないということであれば、生産量は落ちる。いずれにしても成長量と均衡した生産は、生産性の上では理想的だけれどけっこうリスキーだなとは思う。


適正な価格で取引されれば、パルプにしようが燃やそうが捨てようがどうでもよいというのが資本主義の原理なのかもしれないけれど、万博のおかしな屋根を作るために使うのは、はるばる遠路お越しいただいた木材にとってもいささか不思議な気持ちかもしれない。せめて二次、三次としっかり利用して、最後はりっぱなバイオマスとなってほしい。あれはレガシーになっちゃうやつなのかしら。


2023年7月26日水曜日

QGISを使って森林GISを構築する 1/n

すっかり農家ですが元々林業です。チェンソーはよく扱えませんが。

山の管理人のことを「山守(やまもり)」といったりしますが、この多摩のあたりでは「山庄屋(やましょうや)」というそうです。

ええ。この際、畑仕事なんぞかなぐり捨てて僕も山庄屋たらん、と宣えばきっと、ビジネスパートナーの畑庄屋に鍬を持って追いかけられてしまいます。

いつかなりたい山庄屋。ということでサイドプロジェクト的に森林GISをしこしこ構築していきたいと思います。

2020年9月5日土曜日

『樹木たちの知られざる生活』からの、いろいろ。




今日はこの本の紹介というか、転がりの起点というか発生源というかなんというか。
『樹木たちの知られざる生活』ペーター・ヴォールレーベン 早川書房 2017
転々と、転げ落ちていきたいと思います。



先のエントリーで紹介した森涼子さんの『グリム童話と森』。

2020年8月8日土曜日

読了から始まる随筆:『グリム童話と森』

子どもは日々、できることが増えていく。
おしゃべりは1歳半から怒涛の進歩。早くも日本語話者としての貫禄。
遊び方も上手になった、絵本のいちごをたべる、調味料を振る、コンロの火加減、のフリ。

遊びの半分は誰かのまねであるとすれば、もう半分はイマジネーションだ。
日々、見聞きしたことや、繰り返しせがまれるおはなしは、小さな身体どこかに吸収され、分解されているのだろう。
現実と想像の境目が曖昧と見えるのは、現実を定義して長いこと経った退屈な大人の観察に過ぎない。その退屈な現実すら、正しいかどうかわからない、とも付け加えよう。

だって僕の周りの人の背中には、ジッパーがついているかもしれないでしょ。

人生にワクワクを。さて。

2020年6月15日月曜日

エピペンという名前の、お守り

使うことが、ありませんように。
お守りを使うことなんてないでしょう。

以前ハチの抗体検査をしていて、基準値以上の抗体があることは分かっていた。
職場は抗体検査の金は出してくれるが、エピペンの金は出してくれない。
検査だけやってくれて、業務上ハチに刺された場合は自己責任とか、なかなか奥ゆかしい。遠慮しなくてもいいのに。

2019年9月1日日曜日

ブナの漢字

昨今ブナづいている僕です。
昨日、講演会に出ました。


2019年6月23日日曜日

ブナづく初夏

ブナづいている。



林学科の人間のいくらかは性狷介になる。知らない人よりも知っているからだ。
選択したテーマがマイナーであることを忘れるのだ。まともな人は林学科など行かない。
そして外部からのアプローチに有頂天になる。

そして、浅薄でにわか仕込みの知識を持って市民の気持ちを逆なですることを言う。
手前が、どれほど知っているのかも知らず、気持ちよくつけあがるのだ。

そういう輩は人前に出てこなくてよろしい。
山月記よろしく虎にでもなって、山奥でひとりおんおん鳴いていればよいのだ。
ああ、おれのことだった。

2019年5月25日土曜日

外国人が森林を欲しがるとしたら、なぜか

ずいぶん林業土木が長くて、久しぶりに林業振興の仕事に帰ってきた。
新採用以来だから12年ぶり。干支が一回りしてしまった。

状況はさまざま変わっていて、いろいろ勉強しないといけない。
あとは、大昔の恥ずかしいエントリーがまだ残っていて、ページ削除をお願いしないといけないな、と思ったり。

そのなかで。さしあたり。

これな。

2019年1月15日火曜日

治山を英語で、

パンフレットを作ってるんです。仕事です。趣味じゃありません。
事業の紹介パンフみたいなやつです。配布用のものが品切れしたので、作り直そうと。

別に英語版を作ろうとか大それたことを考えているわけじゃないんだけれども、前のパン付に「治山」として、"Forest conservation"という言葉が使われていた。
ここで、はて、と考え込む。

"Forest conservation"を字義通りに翻訳すれば「森林保全」だ。
じゃ、治山は森林保全なのか。
間違いではないけれど、どんぴしゃではない。どうもそんな気がする。

当職としては、当然ググるわけです。

2016年9月2日金曜日

永く価値をもつものに投資をすること

ビジネス雑誌は割と好きです。

どうも世間では金投資が盛んだという話で、景気が良いのだか悪いのだかよくわかりません。給料は特に上がっていません。
なんでも、金は需要はあるにも関わらず、今後採掘できる金鉱は今の10倍のコストがかかる、故に金の価値は上がる、という論法なのだそうです。

そうか。金でも買うか。

2015年8月23日日曜日

『海外の森林と林業』に掲載されそうだよー

無事掲載予定に載りました。まだわかんねぇけどな。
書き終わったのは2月くらいなんだけどな。

海外の森林と林業 国際緑化推進センター
6月号なのにまだ出てないという謎展開はさておき、例によって全国有名書店でもまず置かれないと思われるので、最寄りの農学部のある図書館などで発見された時などに、お手にとってご笑覧いただければ幸甚に存じます。あればね。


内容はね!協力隊の話です!帰国してから2年経ってますけど!いまさらかよ!

2015年6月21日日曜日

「森の神秘」にこそ、問題があるのかも 『緑のダムの科学:減災・森林・水循環』

6月1日は開学記念日でおやすみです。農学部スキー部としては富士急ハイランドに行くのが習わしでした。部員は水をかぶるアトラクションでポンチョを着てはいけないのも決まりでした。なんでだろう。
既に卒業から10年過ぎ、未だに私の中で荒ぶる信大愛。今年の6月1日は普通に現場に行ってました。この期に及んで郷愁の強風に煽られ、エモいことを言っているのか。
その理由は、大学の後輩さんをお名前を書籍の中でお見かけしたからでした。


緑のダムの科学: 減災・森林・水循環

築地書館
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森林関係書籍はフォトジェニックだから、面出しされているとつい買ってしまう。
よいこのみんなは、もりとか、しぜんとか、だいすきだろ?

2015年2月8日日曜日

森林認証の限界?

なにをあたりまえのことを、という感もあるのだが。
Certification incentives for reducing illegal logging in Brazil may miss thier mark  27.1.2015 CIFOR

ブラジルのお話。詳細はグーグルさんに翻訳してもらってください。

大多数の小規模森林所有者はサプライチェーンと繋がっていないため、森林認証を持つインセンティブがない。
森林認証は輸入を目的とした木材に偏りがちである一方で、小規模所有者は国内市場、あるいはもっとローカルな市場を相手にしている。だから認証は森林減少を食い止める有効なツールとなっていない。

要約するとこんな感じかな。しすぎか。

2015年1月11日日曜日

書評:『野生のオーケストラが聴こえる』を読んで、すごいけどちょっとだけ鼻につく。

季節的には予算要求シーズンなんですけれど、暦通り三連休を取得。こんなに余裕をぶっこいていてよいのかどうか。

またしてもお高い本を購入してしまったんです。書店で見かけて思わずニヤリとしてから、レジに持って行ってしまいました。3,400円なり。
野生のオーケストラが聴こえる―― サウンドスケープ生態学と音楽の起源
バーニー・クラウス
みすず書房
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ニヤリとした理由はタイトル。このタイトルは枕歌がありまして、アルド・レオポルドの『野生の歌がきこえる』です。

野生のうたが聞こえる (講談社学術文庫)
アルド・レオポルド
講談社
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1949年に発刊されたこの本は、環境倫理学の嚆矢といっても差し支えない書籍で、レオポルド先生の高名は学生だったころ、しょっちゅう耳にしてました。読んだことねぇんだけどな。あれだ、ゼミで誰か扱ってたんだ。
共有地論・コモンズ論につながる「土地倫理」という概念が案出されたのがこの本。
したがいまして今回は、こいつを枕歌に、渋すぎる歌枕を読んだ奴がいるということです。

でもさ。そもそも『野生の歌が聞こえる』の原題は"A Sand County Almanac"なんだってさ。調べて初めて知った。どう訳せばいいかな。「乾いた大地の"満引き"」とか?
面白いタイトルだけれどちょっと詩的というか、抽象的。だから邦訳版では「野生のうた」とかわけわからんタイトルになったのかな。
翻って、今回読んだ『オーケストラ』の原題は"The Great Animal Orchestra"なので、まんまです。僕はどうやら気を利かせた訳者にハメられたようですどうもありがとうございました。
今回は貴様のとんちに負けてやったぜ。

実際面白かったし「うたが聞こえる」と分野や関心はよく重なっている。と思う。読んだことないんだけど。
アメリカの環境保護や国立公園問題、シエラクラブなども扱っているので、ニヤリとしたひとは迷わずレジに持って行きなさい。3,400円握りしめて。
あ、税別だからな。もうちょっと持ってけ。

2014年11月29日土曜日

線的愛情

2件の変更設計を終え、完了検査まで終わって。昨年の7月から、14ヶ月手がけた仕事ということになるのだな。気が抜けた。
虚脱感を10トンダンプ過積載でお送りしております。

黒々とした真新しいアスファルトには、あっという間に落ち葉がたまり、風景に馴染んでしまった。

…10トンダンプ。

2014年11月3日月曜日

それからどした?〜チキチキアカシア林再調査〜


バナナの向こうに見える、俺の林。
8月末に訪れたわけですが、早くも二ヶ月経った。月日の経つのは早いものですね。

ということで、ようやく重たい腰を上げ、まとめ始めました。例によって副社長に軽口を叩き、報告書だすかんね、覚悟しとけよ、と云ってしまったので、再びベトナム語で作文をせねばなりません。
年内にやる。宣言しないとやらないし。

2014年8月12日火曜日

ネオニコチノイドとか、久しぶりに聞いたなぁ

世の中お盆なのにくっそ忙しい日々を過ごしています。
8時間は寝たい。惰眠と云われようが。9時に帰ってきたら10時に寝たい。


先日、恩師が知事選に出まして、8時すぎに早くも当確が出ました。相手方の本命候補の。
それはどうでもいいんです。叱られそうですが。

恩師の選挙公約を拝見しまして。マツ林の防除にネオニコチノイド系の薬剤は使わない、と仰っていたのが印象的で。僕もこの関係の仕事を以前したことがあるので、ほうほう、と思って眺めました。僕が森林病害虫担当をしてたときはまだ導入されてなかったんですよ。ネオニコチノイド。6年くらいは前ですね。


2014年7月14日月曜日

書評:トピック狩りを兼ねて森林・林業白書を眺める。

すげー久しぶりに買った。勉強も兼ねて眺めている。

平成26年版 森林・林業白書
林野庁 編 (著)
全国林業改良普及協会
売り上げランキング: 15,864



大学3年生からしばらく毎年買ってたんですよ。白書。うちの研究室は白書ゼミがあって。
白書は批判的に読むのだ、と先生は仰ってました。ケチをつけろと。難癖つけろと。
行政の書く文書はとても滑らかだけれど、よく考えるとおかしなところがある、ということをせんせは云ってたんじゃないかな。忘れたけど。
ちなみにホンモノの行政文書は超読みにくいです。新採用時に心が折れた記憶があります。どんだけ不思議言語ちゃん。ほんとに日本語なのか。

2014年6月8日日曜日

減ったとて残ること:林道を設計しつつ考える

研修でつくった図面をしげしげと眺める。

手先がまったく不器用にできていて、しかも算数が嫌いなのにサインコサインタンジェントとかマジ死にそうです。同じ班のみなさんには大変お世話になった。

講義で面白かったのは構造物と地震との関係。擁壁みたいな構造物は地震時の荷重は考慮しない。そう決まっている。先の震災では100キロのおすもうさんが80キロくらいの力で左右に揺さぶられるくらい苛烈なものだったそう。なんだそれは。
だから、非常時はアウトです。ザッツオール。そういう設計。シンプルだ。無限の安全性はない。あったとしてもすごい金がかかる。

生命保険に毎月100万円なんて払わない。僕の首は高くないし、そもそも金ないし。むしろ僕がひっきーになったほうがはるかに安上がり。あ、朝起きたらレディ・ガガだったり秒速で一億稼げる男だったりするなら前向きに検討します。
けっきょく誰もがリターンとヘッジすべきリスクとの考量で決定してるんだよな。
当たり前のことなんだけれど、たまに忘れるのだ。