2011年10月30日日曜日

土が少ないこと

じっくりゆっくり。寝坊をしてみた。

出張中は、まあ、いろいろあったわけだけれど、
カマウ以外の森林を見ることができたのが個人的には収穫。


カマウにあるメラルーカ林は単純一斉林。
天然林でもほぼメラルーカだけの純林ができあがる。
でもBinh Châuでみることができたのは雑木林というか、常緑照葉樹林。
久しぶりにみて、ああ、そういうのもあったね、と驚き。

なんでカマウにこういう林はないんだろう、と考える。
たぶん、それはカマウがとても低い場所からだ。
職場になぜか導入されたGPSで計測すると、海抜5m、となっている。
海から20kmは離れているのに、5mしかないのだ。

水面から、辛うじてに顔を出している土地であること。
この広大なデルタ地帯のほとんどは、半湿地のような場所であること。
メコン・デルタは実はまだ生まれたての、幼い土地。

土が少ないことが多様な樹木の生育を妨げる。
淡水はメラルーカ、喫水域はマングローブしかない、といっていい。
ほかの場所に行って、初めて気がつくこの場所の不思議さ。
蚊が多かろうが、文句は言えないのだ。

エンバンクメントって、よく考えると土が足りないってことだよな。
いつかきっと、土はどんどん増えていって、
いろんな木がここにも生えるようになるんだろうな。

でももちろんそれは、気が遠くなるような先の話で、
僕が見ることはない。ただ想像してみるだけ。



2011年10月9日日曜日

ススキと水田

















まあ、ススキではないと思うけれど。
まあ、カヤ科のなんかだ。

日本で10月といえば、ちょうどいい季節だ。
涼しくてよく眠れるし、運動も快適。メシもうまい。
なんか、初氷、とか聞いたような。


メコン・デルタのここ最近は、ずいぶん雨が多くて
肌寒い、と感じることが多かった。
それでも半袖サンダルで生活していたわけで、ベースの気温は日本とは違う。
昼間は十分暑い。


日々の生活だけを取り出して、秋を感じることってほどんどない。
木々も草もは青いままだし、市場に行けば、大量のくだもの。
食べものはいつもどおり。飲み物も相変わらず熱いお茶とカフェ・ダー。

ススキを見たときに、ああ、10月なんだな、と思いだした。
何回目かの田植えがこの辺りでは終わって、青い稲が風に揺れている。



山でもひとつありさえすれば、目印になるのだけれどな、と思う。

そんなことを考え出したら、日本にいたときは、山や海を定点観測していたんだ、
と気がついた。


雲がかかったり、晴れて山頂まできれいにみえたり、雪が積もったり。
ここはまったいらだから、視線を空に移すポイントがない。
見上げると、たいらな土地があって、その先に空がある。
ベトナムの空は表情豊かだ。


ススキと稲、考えると奇妙なんだけれど、
それがきっと、ここでは普通の風景なんだろう。