人生でモトリー・クルーのファンだったことはない。
今回リマスターされて、ストリーミングに乗ったんだね。
なんだか、とっても懐かしい空気を感じた。
思い出したのがスパイダーマンのサントラ。
これって、ずいぶんロックよりのアーティストがたくさん出演してたんだよね。いまよりもずっとロックが真ん中にいた時代だった。
今作は、このレコードの空気感と、どこか地続きの世界。四半世紀近く前のことなのに。
この中で、第一線の知名度なのはチャド・クルーガーくらいだろうか。
この声。こういうガラガラ声が、とっても人間臭くて、僕が「すごく」ロックを聴いていたころの時代に今の僕を引き戻していく。
そして、ここで出てくるニック・カーターさん、お元気にされていたようでなによりです。"I want it that way"では当時大変お世話になりました。タワレコで面出しされている風景を苦々しく思っていたメタル耳の僕でもコーラスは歌えます。
相変わらず、良い声をされておりますね。
そしてブッチ・ウォーカー。この人、どこでもブッチだからいい。付け加えることはない。
このあたりが、個人的なハイライト。
聴いていて、テクニックとか曲の構成なんて気にならなかった。乾いたスネアとシンプルでキャッチーなメロディ、そして空気を震わせる深い声。
僕の本尊はどうもこのあたりにあるのだな。
昔、誰かのインタビューを読んだんだ。スラッシュだったかな。
ステージにフランネルのシャツを着てふらっと現れた男が、ずっと下を向いて怒っている。そんな「シューゲイザー」を見ていて、何が楽しいんだ。みたいな話。
明らかにカートコバーンの話だ。
グランジがシューゲイザーなのは於いておくとして、ポスト・グランジ、スパイダーマンのサントラあたりの連中は、少なくともオリジネイターよりも怒っていない。なによりずいぶんこなれている。
立ちこめるグランジの霧は晴れて、以前より遠くのものが見える。きっと青空だって見えるだろう。
それから四半世紀ぐらい経った。
音楽的趣向として、僕の視点に結ばれるものはずいぶん近くなった。複雑な楽曲構成であったり、技量だったり。まあ、近視はどんどん進んだからね、しょうがない。
それはそうなんだけど、昔はそうじゃなかったじゃん。と思い出した。
眼が、今よりは少しばかりよかった時分の自分は、もう少し遠くも見れていた。
シンプルでキャッチーなメロディ。聞く前よりも少しだけ僕を勇気づける音楽。
そういうのを、僕は貪るように聴いていたじゃないか。
最近老眼がひどくて、近くのものを見つめるのに疲れたのかもしれない。
荒れ果てた大地に見る青空。そんな一枚。