2016年5月8日日曜日

暇つぶしの友だちが本当の友だち

「でも、暇つぶしの友だちが本当の友だちだって誰かが言ってたな」「君が言ったんだろう?」「相変わらず勘がいいね。そのとおりだよ」



僕はどうも、とりあえず、とか、まずは、とか、そういう言葉をよく使ってしまう。やらないといけないことを決めるのだ。先々のナニカは僕の身体を動かさない。目の前の事柄こそ僕の身体を動かすのだ。
そういえば新採用のとき怒られた記憶がある。でも実際そうなんだもの。


時間がないし、距離も離れているし。言い訳はたくさん思いつく。たくさん時間(とお金)があればなあああ、と思うことは多いのです。
僕らはかつて、たくさんの時間をかけて、たくさんのムダ話をした。
そのこと自身は、たぶん大した意味なんてない。なるべく短時間で、効率的に、なんてことを考えてはいけない種類の事柄だってあるのだ。

振り返ってみると、僕らは大学を卒業してから、さまざま行きつ戻りつしながら、世の中ってけっこう狭いね、という話に行き着いたりしている。
今後もなかなかヒマは訪れないだろう。相変わらず。吹き付ける風が凪いだ、一瞬のスキをついて、僕たちはムダ話をしなくてはいけない。かなり集中して。
なかなかタフな種類のムダ話だ。

「きっと我々はお互いに暇をもてあましている時にしか正直に話し合えないのさ」と僕は言った。「どうもそうらしいね」鼠は微笑んだ。

そんなことで、とりあえず、まずもって、格好のムダ話の相手である彼らの門出を、こっそりと祝福する。幸多からんことを。そして時折また、ムダ話相手になってくれることも。