2026年7月28日火曜日

間伐の世界から主伐の世界へ

転職して3年。農業が主業となっている僕です。

でも元は林業の人でもあったはずです。そういえば。たしか。よく思い出せないけれど。

最近そういう仕事もちらほら出てきているので、オーバービューみたいな感じで、東京の林業っていうのはどういう感じなのか、さらりと整理しておきたい。
なお比較の対象は前職の新潟県。帰属集団なので仕方ないね。

さわり。認定事業体数。

都内の認定事業体一覧(令和7年 東京都)
認定事業主一覧(令和8年 新潟県)

16事業体と56事業体。森林の面積が違うからね。
東京都は少し増えてきたらしい。県外から都内に事務所を開設し認定を取得するケースもあるとか。新潟県も1割くらい増えました。見ていて嬉しくなった。僕がやってた令和3年のころは50と49を行ったり来たりしていた。
おお、あそこが入ったか、みたいな喜びと、あそこが落ちたか、みたいな落胆と。


●造林補助金の額(標準単価の設定)

間伐・定性・チェンソー造材・選木ありで比較。新潟がけっこう変わってた。
以前は90m3/haまで単価があったけど、61m3/haまでで、上の単価が消滅。
61m3以上、A・C単価を見ると673,160円/ha。東京は昔どおりで、上限81〜90m3/haで標準単価は1,126,898円/ha。同じ区分で比較しても、単価は一貫して東京の方がいい。

この単価の良さは労務単価のせいだ思っていた。でも、普通作業員の公共工事設計労務単価を見てみると、東京:27,000円/日、新潟:24,300円/日なんだよね。
10%くらいは違うけど30%も違わない。だから、違うのは歩掛。

新潟は基本、林野準拠。一方、東京の単価はたぶん独自歩掛もしくは上乗せ補助。
そういえば、都の人は間伐は単独事業です、って言ってた。つまり国庫補助の森林環境保全整備事業ではない。だから都の裁量で補助額が設定されている、ということなのだと思う。

あと、新潟の単価表をみていて、(伐採から植栽までの)一貫作業が新設されていた。僕のころはなかったからここ3年くらいの変化だろう。
一貫作業の伐採歩掛って皆伐に補助出すってことになったんですね。びっくりした。
僕みたいなオールドスクールな人間からすれば、皆伐に金出すなんて、偉大なるモラルハザードに見えるんだけど、調べてみると林野庁の歩掛みたい。
まあ、ちゃんと再造林してくれる代わりに金を出すっていうことなんでしょうね。


いずれにしても、新潟は以前90m3/haまであった単価を60m3/haで切った。その代わり、一貫作業の単価を出した。これからは搬出間伐じゃなくて皆伐をやれ、っていうことだ。
施策誘導として考えると、とても明確なシグナルではある。
で、結果がどうなっているのか。
新潟県の素材生産量は増加している。皆伐が増えたんですね。

令和7年度 新潟県の農林水産業 

ひとまずシグナルは有効に機能している。施策が事業体の施業を誘導できた。
そう評価していいだろう。

●搬出間伐の補助率について

基本は4/10。国庫補助だからね。対して搬出間伐と作業道の補助率が58/100で他が4/10となっている。例の補助金計算 

標準単価✕(諸経費)✕査定係数/100✕補助率

で計算するとだいたい、新潟が67%、東京が98%になる。標準単価100万円の施業を実施した場合、新潟は70万円、東京は98万円の補助額になる。
東京の方が単価の設定もあるし、補助率もいい。

この金持ちどもが。

僕もそう思うけど、もう少し深堀りしたほうがいい。

東京の補助制度は、皆伐に舵を切る前の世界線にいる。
世の中、主伐再造林に力を入れているのに、東京は依然、間伐による素材生産に力を入れている。
少なくとも、民間事業体に対する造林補助だけを見れば、そう読める。
他方、皆伐については東京都農林水産振興財団、他県でいうところの農林公社が花粉症対策としてめちゃくちゃ皆伐しているから、別に皆伐していないわけではない。そこはまた別の話。


間伐から皆伐に注力するようになった世界線の人は今、どう思っているんだろう。
素朴な疑問として、そんなことを思う。
林業をやっている人を中心として、その周辺の人はそこそことして、地域でなにかしらいいことが起こっていればいいのだけれど。

生産量増えることが幸せか。GDPが増えることは幸せか。
ほら、もっとこう、なんか、尺度ってあるだろう、ほっこりした幸せみたいなやつが、みたいな話に簡単に転じてしまうので、今のところ深追いはしない。

久しぶりにあって話して、ニコニコしながら忙しくてかなわん、といっているじいちゃんに会えれば、まあいい線いっているのではないか。僕ならそう判断する。

とまあ、なんか書いてて情報交換というか、飲み会でもしたいような気持ちになってきたわ。

あれだ。市況調査みたいなやつだ。
違うかな。
越後の酒と肴が恋しいのかもしれない。