あせもができて、宿痾たるアトピーがむずむずと頭をもたげる時分。
湿気でむっとするのは嫌なもの。
どうやら湿気が立ち籠めると、日記を書く習性があるようで。
ワイシャツで仕事をするようになってから余計にそう思う。
ワイシャツが、スラックスが、湿気でぺたぺたと肌に張り付く。
なぜこんなものがフォーマルな仕事着なのか。作業着の方がよっぽどましだ。
そんなことを考えながら、汗を乾かしがてら、無駄にオフィスを歩きまわる。
タバコ部屋で先輩が、君は半袖シャツをもっていないのか?と訊く。
もっていない、と答えてから、そうだな、半袖は涼しかろうな、と少し考える。
でも、ロールアップすれば済むし、半袖は長袖のロールアップよりも美しくない。年中ロールアップしている僕としては、むしろ七分丈のワイシャツなど誂えたいものだ。
そんなことは思っているのだけれど、本当のところ、単にめんどくさいから買わないだけなんだけれども。
結局、ワイシャツという文化もそんな面倒くさがりのささやかな顛末なんじゃないか。オフィスに戻るすがら、少しばかりそんなことを考えて、さて、と、仕事のことに頭が戻る。
霧雨のなか、冷やし中華を買って、自転車で家に帰る。びしょびしょになる。不快度はさらに高まる。
夜になり、気温が少し下がる。湿度は高いままだ。
涼しくて乾いた空気も吸いたいが、湿度を含んだ冷気もなかなかいいものだ。網戸越しに密やかに忍び込む、風を感じながら思う。
雨が上がり、乾きつつある土の匂い。
わさわさと生え揃う雑草の草いきれ。
空気の匂い。
時折ふわり、と吹き込む風。
うちの裏手の水路に住まう、ウシガエルさんの鳴き声。
それぞれが質感をもったもののように感じられる。
冬と夏の違いは、色合いや温度だけじゃないのだ。湿度が魂を吹き込む。
それぞれの形を、鮮やかならしめる。良くも悪くも。
良くも悪くも、僕は無為に圧倒されるままでいる。
しかしそれは、それほど悪いことではないのではないか。
なされるがまま、焦点を合わせず、ぼんやりと、その在りよう見ていたい。
そんな気持ちになる。
湿気でむっとするのは嫌なもの。
どうやら湿気が立ち籠めると、日記を書く習性があるようで。
ワイシャツで仕事をするようになってから余計にそう思う。
ワイシャツが、スラックスが、湿気でぺたぺたと肌に張り付く。
なぜこんなものがフォーマルな仕事着なのか。作業着の方がよっぽどましだ。
そんなことを考えながら、汗を乾かしがてら、無駄にオフィスを歩きまわる。
タバコ部屋で先輩が、君は半袖シャツをもっていないのか?と訊く。
もっていない、と答えてから、そうだな、半袖は涼しかろうな、と少し考える。
でも、ロールアップすれば済むし、半袖は長袖のロールアップよりも美しくない。年中ロールアップしている僕としては、むしろ七分丈のワイシャツなど誂えたいものだ。
そんなことは思っているのだけれど、本当のところ、単にめんどくさいから買わないだけなんだけれども。
結局、ワイシャツという文化もそんな面倒くさがりのささやかな顛末なんじゃないか。オフィスに戻るすがら、少しばかりそんなことを考えて、さて、と、仕事のことに頭が戻る。
霧雨のなか、冷やし中華を買って、自転車で家に帰る。びしょびしょになる。不快度はさらに高まる。
夜になり、気温が少し下がる。湿度は高いままだ。
涼しくて乾いた空気も吸いたいが、湿度を含んだ冷気もなかなかいいものだ。網戸越しに密やかに忍び込む、風を感じながら思う。
雨が上がり、乾きつつある土の匂い。
わさわさと生え揃う雑草の草いきれ。
空気の匂い。
時折ふわり、と吹き込む風。
うちの裏手の水路に住まう、ウシガエルさんの鳴き声。
それぞれが質感をもったもののように感じられる。
冬と夏の違いは、色合いや温度だけじゃないのだ。湿度が魂を吹き込む。
それぞれの形を、鮮やかならしめる。良くも悪くも。
良くも悪くも、僕は無為に圧倒されるままでいる。
しかしそれは、それほど悪いことではないのではないか。
なされるがまま、焦点を合わせず、ぼんやりと、その在りよう見ていたい。
そんな気持ちになる。