2013年1月22日火曜日

メイナード・キーナン師、知らんうちに前線復帰

昨年レコード出てたんですね。
てっきり稼業のワイン造りに勤しんでいることかと思っていたら。Puciferはメイナードさんの「変態お下劣プロジェクト」というレッテルが貼られている。個人的に。


なんだか楽しそうです。
ディビッド・レターマンさん、一切興味はないけど愛想笑いで紹介、という風情も秀逸。
いいからオマエはズラをとれ。


もともとPuciferは前衛的かつアバンギャルドかつおふざけかつエロい音楽をやりたかったんだじゃないか。僕の持っている2作はそんな感じだった。
そもそも名前がどうなんだ、という話ですよ。そもそも。エロそうなグッズががたくさん売ってるPuciferサイトも、興味がある方はご覧になるといいだろう。

上のタイトルトラックはなんだかにぎやかだけれど、今作は全体的にはどちらかというとシリアス。静かで、歌主体のレコードに仕上がっている。曲にもよるが、エレクトロニカ寄りのサウンドスケープ。そこにメイナードさんの声が乗る。
相変わらず奇妙なところはあるけれど、変態風味は減少傾向。
特に静かに歌う時、この人の声はとてもスペシャルだ。頭のなかでいくつもの波紋が描かれ、広がり、互いに重なり合う。高い女性ボーカルを聴くとたまにあるけれど、男性ボーカルではほとんどない。
高い女性ボーカルの音像はコラージュのようだ。落とされる水滴の数が多すぎて、像がくしゃくしゃになるイメージ。もちろんそれも素敵な感触だけれど、バッファ・オーバーフローな感覚を覚える。メモリ不足。換装できるといいのかもしれない。

声の波紋はゆっくりと広がり、干渉し、その余韻を感じることができる。
スコールみたいな声/時雨みたいな声。外には取り出し得ない、僕の頭の中の話。
ゆっくりと、つぶやくように歌う時。僕は強く惹きつけられる。



メーナードさんは言わずと知れたToolのフロントマン。稀代のスクリーマーとしても破格の存在感。数年前にサマソニでみたときも鬼神の如き名演であった。
もうね、これはね、あれですよ。ステージがメッセの隅っこだったとか、同時刻のメインステージ・千葉マリンのヘッドライナーがLinkin Parkだったとか、関係ないっすよ。ここでTool見ない奴なんなのと。バカなの死ぬのと。この頭痛はビールの飲み過ぎなのか、演奏がすごすぎるのか、という極限状態で見た記憶。虚脱感がひどくて、帰り幕張からの電車で死にそうになった。

どちらかというとToolは演奏を聞いてしまう。演奏の一部として歌がある、というイメージ。Toolはプログレ的要素が強い。曲も長くて歌のないパートも多い。でも異常なテンションと展開の妙、圧倒的な技術で聴かせてしまう。レコードの音もいいしね。
このときメイナードさんはくねくねと踊っていたが、ブラジャーは着けてなかった。



レコードの聴後感としてはA Perfect Circleに近かった。三足のわらじを履くメイナードさん。彼のプロジェクトの中では一番エモーショナルなものだろう。
どれが本当の彼か、という問いにはあまり意味がないだろう。阿修羅的なToolと、エモーショナルなA Perfect Circle、そして「変態」Puciferの3つの化体。
ストロングスタイルなToolメイナードの装甲を剥いでしまうと、どちらかというとナイーブなAPC的メイナードが佇んでいる、という想像が僕にはしっくりくる。どちらにしても変態だが。
彼の声は時に、女性のように、少年のように聴こえる。これほど声を張り上げているときと静かに歌う時の印象が違う人も珍しい。そんなことを考えてると、上のPVはなにごとかを示唆しているようにも思われる。

その声は時に、感情がそこにあるのか、と訝しんでしまうことがある。彼の目は宙を漂い、どこか違う場所の、違う風景を見ているのではないか。音楽を聴いているのにもかかわらず、なぜか彼の視線の行方が気になる。聴きながら、置き去りにされたような感覚を味わう。そんな不思議な歌い手だ。
静かに、ヘッドフォンをつけて震撼したいレコード。




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で、Ozzfest JapanにToolが出演との報。うぎゃ。5月12日に幕張なんていけるわけないやろが。
それよりもBlack Sabbathて。御大オジーちゃんもさることながら、ビル・ワード爺ちゃんはまだドラムを叩けるのか、というところにも若干の関心がある。

ライブ中に絶息とか、本望なんすかね。かこいいけど。