A Perfect Circleのライブ盤がリリースされておりました。どうもやっぱり、上手ですね。この人たち。ライブ盤のほかにコンピレーションやらも出ていて、楽しみな限りです。
やっぱメイナードさんの立ち位置はここ。
A Perfect Circle (2013-11-26)
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20曲も入っているし大満足なレコード。欲を言えば"3Libra's"をちゃんと歌ってくださいよろしくおねがいします、ということくらい。
くだんのimagineもちゃんと入っています。"eMOTIVe"が発売されたのが2004年だったので、やっぱり10年くらいレコードは出てなかったのか。
おージェームズ・イハがキーボード弾いてる。元気そうですね。
スクリーンに映る映像は当時の時代背景が感じられ、改めてみると興味深いです。あの頃のアメリカはやっぱりスーパーパワーだった。「帝国の拡大と、抵抗」という、わかりやすくて強い物語があったように思えます。
実際、ジョージ・ウォーター・ブッシュが体現したアメリカは、多くの怒りを呼び起こしたんだと思うの。彼がそこまで意識していなかったとしても。あの時のマドンナなんかすっげーカッコ良かったし。
それから10年経たずして、そんな「強いアメリカ」は現在、すっぱり消失してしまっていることに気がついて、愕然ともする。まったく僕らは都合良く生きている。
たぶんもう、憎悪できる相手すらいないのだ。今もしレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが現役でやっていたとしても、あんなにバカでっかいモッシュピットなんて作れないんじゃないかな。
言うならば、今のアメリカの敵は老いや病気かもしれない。慄き、外への関心は失われたようにみえる。あんなにエバーグリーンだったのに。でもレイジがオバマケア通そうぜ、と歌っても、なんだか萎える。
この辺、もう少し考えるべきことがありそう。例えば、オバマケアでは力強い物語が作れるわけないとして、物語を作るためにまた外に出ようとするだろうか、とか。
背景や文脈なんかどうでもいい向きもあるけれどそれが時代を彩ったりもする。プロテスト・ソングがいい例だ。
かつてレノンが掲げた、あの夢はどうなった?
そんな問いは、単純に多くの人を惹きつけたんだと思う。「現代のイマジン」と呼ばれた所以だろう。このレコードを最後にAPCは休止したのは、何かしらの役割を終えたから、なのかも。
それはそうとして、コーラスをつけているビリー・ハワーデルも高くてクリーン、いい声。ライブレコードにも関わらず、安定したコーラス・ワークを楽しむことができます。
もともとエンジニアとかギターテクの人だったみたいだけれど、ヴォーカリストとしての確かな力量はASHES dlVIDEでも証明済み。
ASHES dlVIDEはストレートでポップでキャッチーなのよね。アメリカ特産のエモ風味ヘヴィ・ロックみたい。好物です。こういうの。でもAPCと毛色が違う。同じビリー作曲なのに。この違いはどうしたことか。
APCはすごく不穏でヘヴィなリフがあっても、コーラスやブリッジでそのテンションは開放される。「風向きの変わり方」がたぶん好きなのだ。感情を顕わにしている人の後ろ側に、もうひとりの静かにしている人がいる感じ。思索的・内省的。メリハリというよりも、性格の違う二人の人格の同居だ。
もちろんメイナードのヴォーカルに拠るところも大きい。なんだか声明とか朗詠っていう言葉が思い浮かぶんです。呪詛し、祈り、歌う。
ビリー本人が歌えるんだから、メイナードが歌う必然性って本来はあんまりない。魅力的に響く中・低音域の声を買っているのかもしれなくて、そうだったら全面的に同意しますけれど。
もしかしたら、巫女とか形代みたいな存在としてメイナードがいるのかもしれない。メイナードをトランス状態にして、退けるスペースを確保するみたいな。そりゃクレバーな話だ。などと、ライブ盤っていろいろ考えてしまう。
いずれにしても活動が活発化してるんだったらレコードを早いとこ作って欲しいものです。APCの近況をWikipediaさんに問い合わせたところ、すでにマテリアルはあるらしい。「メロディと歌詞がない、完成した曲」っていうのはなんなんだぜ。とにかく待ってます。
で、Puciferのほうでもライブレコードがリリースされてます。なんだかToolも来年レコーディングとか、読んだような気がします。まったく忙しい男ですね。
トレーラーを見てるだけで面白そう。まじめにふざけてる。
DVDのほうにはなんだかおもちろい寸劇もあるらしいので、DVDの方をチェックしてみたいと思います。