日本語版ホームページまである名うての親日家として、今だ暑苦しい支持があるようです。順調に円をポンドに換金できているようで、結構なことです。
昨年もジンジャーさんはGinger Wildheart名義で"100%"("555%"も)を出していて、今年も同じワイルドハートさん名義でレコード出てました。相変わらず多作ですね。
HEY! HELLO! (GiNGER WiLDHEART)
VINYL JUNKIE RECORDINGS (2013-06-26)
売り上げランキング: 118,707
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ジンジャーさん、普通にしゃべるだけで品のない単語がダダ漏れなんだけど、その辺は大丈夫なんでしょうか。
エネルギッシュでポップなレコード。上出来。
正直なところ、17歳当時のような没入感はもうないな。レコードを通して聴いていて、時々にやりとする。その程度です。
ブリット・ポップにもニューウエイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルにもまったくはまり込まなかった僕はイギリスのロックというと彼らのことです。Radioheadとか聴き始めるのも後の話。
The Wildheartsはビートルズ・ミーツ・メタリカと呼ばれ、キサマはメタルなのかポップなのかパンクなのかと。うまくムーブメントに乗っかるところができなかった不器用さが薫ります。
ああたのしそう。
ピストルズだってブリティッシュだ、と云ってしまえばそれまでなんだけれど、彼らの中に英国を見出していたとすれば、トラッド風味のメロディかもしれない。
別にBlurやOasisが英国的かといえばそんなこと思わないし、そもそもBeatlesはどうなんだという話。けれど出自の色が見えるのはいいことです。Thin Lizzyとか、今だに僕の車ではよくかかっている。
なんだかジンジャーは歌うようにしゃべる。聞き取りづらい。じょーでぃーってこういうことなんだろうか。
遠くの国のひとなのだと。遠い国の人がなんでこんなに日本に何度も来てくれるんだろう。ライブに行くたびにそんなことを考えていた気がします。跳ねすぎて靴をかたっぽすっ飛ばした記憶もあります。
今にして思えば、あちらも同じなのかもしれません。こんな遠い国の人が、なんでこんなに愛してくれるんだろう、と。そんな風にして始まった不思議な相思相愛関係が20年近く続いていることは、驚きであり、喜ぶべきことだと思います。
ボックスセットも持ってます。限定10,000枚プレスとかで僕の持ってるやつは8,000番台。そんなボックスセットも日本だけでしか出てなくて、本国では買えないとか。
思い出してきた。ボックスセットのなかにけっこう立派にバンドの歴史が書かれたブックレットが入っていて、熟読した記憶があります。
極彩色のメロディ。僕の中の完璧な歌。
歌詞に意味はない。ビートルズだのストーンズだのラモーンズだのシアー・ハート・アタックだの。バンドの名前や曲名なんかを組み合わせた言葉遊び。
最後に"I'm gonna miss you, Kurt Cobain"と歌われる。訃報を聞いて泣きじゃくったあと出来た歌、とブックレットにはあった。この歌で言いたいことはこれだけ。
アンタあんなにカートのことディスってたでしょ。そういう話。
結局USオルタナはイギリスでは流行ったのかよく知らんけど、フォロワーと分類できるバンドはあんまりいなかった。シューゲイザーは生まれたし、Radioheadフォロワーは雲霞の如く出てきたけれど、USオルタナとはまた違う質感。
結局ジンジャーは「靴ばっかみてる奴」なんて大嫌いだったんだ。でもその気持ちや音楽には共感してたんじゃないかな。それでもUSオルタナみたいな感じは嫌いで、こんなメロディだらけの音楽にしたのかな。
だってさ、その次のWildheartsのレコードがバンド史上もっともメロディレスでノイズてんこ盛りで、しかもタイトルが"Endless Nameless"だったんだから。発売当時は否定していたけれど、そのあたりは確信犯でしょう。下ばっか見てムーヴメントを作り上げてしまった男への、ジンジャーなりの回答だったのかもしれない。
冒頭のレコード、UKナショナルチャートでは37位、UKロックチャートでは1位を獲得。不遇をかこってたのがウソみたいに順風満帆です。御年49歳の現在でも相変わらず多作で多忙。こちらも嬉しいです。
もうむりやりポップでキャッチーである必要もないから堂々とポップなジンジャーさんでそれはそれでいいこと。昔みたいに入れ込まないだろうけれど、それでも久しぶりにライブに行ってみたいな。
そして2015年は一番聴き込んだ”P.H.U.Q”から20年ということで、また楽しみです。
ああ、タイトルは、ふぁっきゅー、って呼ばれてます。