2013年4月22日月曜日

メラルーカの間伐をしてみる④(けっかはっぴょー)

14/10/2013 追記:
間伐試驗はいろいろ長くなったのでアーカイブできるようにしました。

①課題の整理 
②設計
③実施
④結果  ←イマココ
⑤損益計算
⑥今後の展望とか



(5/19追記)間違いを発見。間伐後の立木密度を間違えておりました。グラフ等作成時にはすでに気づいて修正していたので変更はありません。最初に作った間伐結果概要を修正せず、勝手に悲嘆に暮れながらエントリーを書くという極めて難易度の高いプレイをしておりました。お詫びして訂正します_(._.)_

サビ臭くてちょっとしょっぱい。

①課題整理
②設計
③実施   につづきまして。

ええ。仕事しに来たんですから、ベトナムに。
お気づきのとおり、一連のエントリーは会社に出す報告書の下書き/メモ。ベトナム語に翻訳するのが苦痛。しっかりまとめて帰りたいと思います。

さて。アウト・オブ・コントロールな状況に陥った間伐試験地造成。
こんな感じに結果はまとまった。


○間伐結果概要
※正しい概要表に差し替え済み(5/19)
単語の意味を考えてはいけない。感じるんだ。

ヘクタール換算すると11,840本/haだった林が8,120本/ha 6,840本/haになった。間伐の結果、立木密度が下がった。伐採後の胸高直径が4.00cm→4.57cmと大きくなっているのは小さい木が伐採されたため。中心はずれて平均径が大きく出ている。この数週間で突然巨大化したわけではない。

そしてまさかの伐採率40%超え。ほぼ計画の上限いっぱい伐ったことになる。伐採率を抑えようという、当初の私の目論見はなんだったのか、と何度目かの震撼。わなわなした。
ちなみに今回の間伐の推定伐採本数は1,000本。うむ。疲れたわけだ。
実際の伐採率は31.4%でした。びっくるさせるなよ!そして推定伐採本数は800本くらいでした。疲れたのは間違いないので、そこは訂正するつもりはありません。


○グラフで比較してみる
あの混乱と喧騒とは一体なんだったのか。沸き立ち荒れ狂う心を鎮めるため、居住まいを正し、写経よろしくグラフをさくさくと作成して往時を振り返る。


縦軸には残存本数、横軸には胸高直径をとった度数分布表。青は間伐実施前、赤は実施後の調査結果。青い棒と赤い棒の差がその径級における伐採本数、ということになる。赤青の棒の長さの差が大きい4cm以下の径級の木はずいぶん伐られていて、5cm以上の径級はあんまり伐ってないね、ということがこのグラフから分かる。

そして、グラフのシェイプだけみると思いの外まともな結果になっている。やっぱり小径木を切りすぎた(特に3cm級)感はあるけれど、正規分布に近いシェイプだ。



出現頻度でみた場合はこうなる。2、3cm級が減って、相対的に中央の4cm級、5cm級が増えた。緑の線は伐採木の割合。2、3cm級の伐採木は全体の6割を占めている。4cm級まで含めれば8割近い。
まあ、社長に6cm伐りやがったな、と怒られる結果ではある。
位置が悪かったんです、グニャグニャな木だったんです、と強弁しようと思っている。


○写真で比較してみる
前回のとおり、僕は完璧にワーカーと化していた。当地、舟が必要という林業らしからぬ特殊事情により森林へのアクセス条件が非常に悪い。加えて当方、鍛えあげられた準カナヅチ級泳力を誇る。
会社側の事情で労働力も十分に確保できなかったこともあり、実感としては現場に居る時間があまりに少なかったなぁと思う。僅かな時間の間に伐採を終わらせなくてはいけないし、おっちゃんの機嫌もとらなくてはいけないし、写真も撮らなくてはいけない。忙しかった。
そして、こちらの方の多くはカメラを触ったことがない。そして使い方を教えて撮ってもらってもたいていおかしなところを撮っている。

監督員だった頃は、代理人さんに写真管理はちゃんとしてくださいね、などと簡単に云っていた。伐採前の写真と伐採後の写真、ナンバリング写真、伐木状況の写真等。伐った後には伐る前の写真は撮れない。当たり前だ。でもうっかり撮り忘れる。事前の準備は大切ダゼ!、と。
で、実際自分が作業員になってみるとじっくりカメラを構える時間なんて全然なかった。あとで、ぐぬぬぬぬ、と。関係者のみなさま、若造が生意気言っててごめんなさい。
離日前にウォータープルーフの頑強なカメラを購入したのが唯一の好プレー。カメラ持って泳いでも大丈夫。

言い訳はこれくらいにして伐採前・伐採後の写真をそれぞれ比較してみる。


位置が違う、という批判はこの際甘受します。ごめんなさい。左は伐採後、右は伐採前。下草を刈っただけだろう、という説も。奥に向かってずいぶん梳いてあるんです。
ほら。伐採後の写真、ずいぶん空が見えるようになってるでしょ。




同じく左が伐採後、右が伐採前。だいたい同じ場所。だいたい。
カメラを地面に置いて空に向かって撮るとこういう風に写る。樹冠投影図の代わり。


伐採前の写真は雑草が写り込んでいるせいもあって暗いんだけれど、立木同士の間隔がずいぶん広がったことが、わかっていただけると嬉しいなぁ。2つの木の樹冠がぶつかっているということは、お互いの木の成長が抑制されているということで、木はもっと高い場所で光を受けよう、つまりは伸びようとする。
樹高は十分にあるので太らせたい、というのが今回の間伐のお題。間伐をすると、こういう風に隙間ができる。閉鎖した森林にクラックを入れた。実際、ちょっと大きすぎたんだけど。クラックを入れると、隙間めがけて残った木は枝を伸ばす。

敢えて「にこにこぷん」の「かしの木おじさん」で解説しよう。「かしの木おじさん」の顔に当たる部分が樹幹(じゅかん)と呼び、頭・頭髪に当たる部分が樹冠(じゅかん)である。
もし「かしの木おじさん」が短髪・もしくは薄毛であったならもう少しシュッとした顔になっていたはずである。逆にわからないか。
…かしの木おじさん、ヤシ酒が好物なのか。共食いじゃないか、その設定は。
つまり樹冠の大きさと幹の太さは相関関係があり、樹冠を大きくすることにより、幹も太る。はずだ。たぶんな。しらんけど。


とりあえず間伐後の結果としてこんな感じ。間伐して環境は変わった。で、大事なのはこの林は数年後どうなるのか、どうなっていると公社にとって良好な結果と呼べるのか、だ。
最後にそんな未来予想図を作って、公社と配属先に示して。
僕のウミンでの仕事を終わりにしたい。

なので、あともう一回続くのであった。