2019年9月1日日曜日

ブナの漢字

昨今ブナづいている僕です。
昨日、講演会に出ました。




ブナといえば「橅」。きへんに、ない。
腐りやすい、狂う、等々使えない木という謂であったというのはよく知られている。
ところがブナの漢字はこれだけではないんだって。
「椈」というのもあるそう。これは知らなかった。

講師先生によると、中国では椈はヒノキなどを指すらしい。
だからこの漢字が「ブナ」なのは日本だけなんだって。
字句のとおり、米の周りにある木、里山的な説明されていた。
本当かどうかしらないけれど、なんだか魚沼的な解釈だ。

偏はきへんでよいとして、右側。菊のくさかんむりを取ったもの。
「一掬の水」は「ひとすくいのみず」という意味だ。
くさかんむりでもてへんでも「キク」なのだから、椈の音読みも「キク」でよいのだろう。
てへんのキク。掬。両の手ですくいだすイメージだろうか。
くさかんむりのキク:「菊」もしらべてみると、花びらの形が米をすくったときに揃う指の象形だなんて書いてある。つまり、菊も「すくう」という動作が関係した名詞だということだ。てへんであれ、くさかんむりであれ。
てことは、きへんでも同じニュアンスが含まれるはずだ。
米の周り:水田の周囲に存する木という解釈はけっこう正しいのかもしれない。

「橅」の漢字は嫌いではない。朴訥とした感じがある。
だってしょうがないじゃん、という風情。
ちがうな。
だからどうした、という風情。

「椈」はどうか。僕の中では新しすぎて、どんなイメージもない。のだが。
水を掬うには荒っぽくやってはいけない。
しずかに、そっとやらなくてはいけない。

乱さぬように、零さぬように、そうっと水をすくう手。
田んぼの周りに静かに茂るブナのイメージは、そんなやさしいイメージがある。