キミは容器のことばかりを気にしていて、中身のことを考えていない。
大事なことは、中身なんじゃないのか。
僕はコーヒーの入った、カップを少し思い浮かべる。
僕はいう。
そのとおりだ。僕は外見のことばかり考えていて、
中身のことなんてこれっぽっちも考えていない。
中身はとても大事だってことは分かっている。
でも、それができないんだ。
言われたその人は、とても困ったような、悲しいような、弱々しい顔をする。
その悲しそうな顔をみていると、僕も悲しくなる。
そう、中身が大切なことぐらい、僕だって分かっている。
事実だとしても、言っていいこと、言ってはいけないことがあるのか。
その人の弱った顔を見たくなかった、というよりも、
強いはずの人が、弱々しい顔をみせたことに僕は狼狽する。
弱さや未熟さを言わざるを得ないのは、弱さに依るはずなのに
そうして、放たれた弱さがその人の何かを損なう。
相手の反応に動揺するくらいであれば、
それは、言われるべき言葉ではなかったのか。
相手が安寧であることが、僕の安寧であるならば。
弱くてもいい、弱さを言い募ってもいい時間帯は、
どうやら僕の中で終わったようだ。僕はそんなことを考える。
ああ。これ夢の中の話。