どうも納期が近いらしく、工場では盛んにイスを作っている。
作られた集成材の板材から、おしりを乗せる板と、足の部分、背もたれの部分が切り出される。
切り出しをしてしまい、さらに最後に研磨が入るので板材のときに目についた細かい不整合はこの時点ではあんまり気にならない。
それぞれ作られた部材を組み立てる。
切ったホゾをちょっとずつ削りながら、組み立てていく。家具制作って見たことがないのでよくわからない。
型ができたら微調整。ガタガタしないようにする。
ベトナムにしてはわりとシンプルなデザイン。ただし、かなり重たい。油分が多いからか。
曲げ強さとか、調べてないけれどとても硬い木だし、構造材でもないから、耐久性はありそう。
組み立てが終われば、あとは研磨と塗装。
研磨と塗装は、女性の仕事のよう。
ずっとこっちを見ていたのに
カメラを向けるとカサを目深に被り、
下を向いて作業い戻ってしまうのだった。
この種のイスはよく人民委員会とか共産党の施設で使われている。日本で言えば県庁とか市役所とかそういった公共施設のイスだ。
カマウ省では、JICAの支援で内部調達からとりあえず生産を増やしてみるという方針がある。逆に、それくらいしか販路がないということでもある。
ここの人はあんまりメラルーカ家具の色合いが好きではないらしく、
塗装したほうがいいという。白木で見た目はなかなかきれいだと思うけれど。
集成材の接合部とか、きちんとしたほうがいいと思うけど。
油分が多いなら磨きこんだらきれいかもしれない。
逆に一般家庭ではこうした木製家具はほとんど見かけない。
たまにお金持ちの家の居間にゴテゴテとしたセンスのない
巨大な木製の応接セットを目にする。座り心地は、悪い。
見てくれ重視で、ユーザーフレンドリーではないのだ。
普通の庶民はプラスチックやスチールの家具をたくさん使う。
ずっと安価で、派手な色合いを好むここの人向きなのかもしれない。
木製品であっても、普通の人が普通に使う家具というのは、
自分でテキトーに作ってしまう。
ここの人にとって
お金を払って買うモノの中に木製家具は、残念ながら含まれていない。
だから、使いやすさやデザインを真剣に考える機会がすくないんだと思う。
僕にデザインができればいいのだけれど、そういうのはカラキシなので。
テーブル、イスともに110万ドン。日本円にすると4,000円くらい。
家具デザイナーさん、販売店さん、ピンときたらご連絡を。