こういうのはだいたい3月末にやるのが習いだった。
社会人は年度ですから。なんちゃって国際人としては年でまとめてみる。
すでに12年になっていますが。あ、あけましておめでとうございます。
ベトナムにいるんだから旧暦でやるべきなのかもしれない。
だとしたらちょうどいいタイミングだ。
とはいっても、11年はあまり新しい音楽に触れない一年になった。
理由は、簡単にレコードショップに行ける環境ではなくなったということとか、
音楽雑誌を買わなくなった(買えなくなった)こととか、
ライブに行かなくなった(行けなくなった)こととか。
もはや僕はヒップではない。それは仕方がない。まあ、いいや。
気になったものをいくつか。
"Odd Soul" Mutemath
とてもかっこいす。ライブみたいす。
2年前のフジで見たような気がするんだけど、気のせいかもしれない。
とても上手な人たちなのでメロディに寄りかかる事無く、クール。
リフはZepっぽくて70’sリバイバルの一部に聞こえなくもないけれど、
ダンスミュージックを通過したあと、という感じがするな。
90年代にティーンズとして70’sリバイバルを体感した人間としては。
バンドのキモはドラムスで、跳ね回るリズムが痛快。
シンプルなセッティングで、より70'sを強く想起させる。
レコードを重ねるごとに曲が練られていく印象。
それにしてもドラムのおっさん、ハンパなくうまい。
レコード一枚を通じて、ドラムの音色・聴かせ方をすごく考えいるんだろうな、
と思いながら聴いた。
帰国したらライブ行きたいの。そう、今ライブに行きたいの。オレ。
"What if..."Mr.Big
2010年の作品ですが。。
Paul Gilbertのギターの方が、線の細いRichie Kotzenのギターより合っている。
しっかりとしたリフがレコードの骨格をしっかり形作っている。
Billy Sheehanの踊るベース。ギターとベースの立ち位置が逆みたいだ。
オーセンティックなハードロックを鳴らせる人たちは、今はあんまりいない。
最近の若者のような、派手さとかパンチが効いているわけではないけれど、
このグルーヴ感とテンションの高さは気持ちいい。職人芸。
あと、多分Billyのペンだと思うんだけど(クレジットがなかった)、
"Stranger in my life"みたいなEricの声が映えるバラードが嬉しかった。
一方のRichie Kotzenも"24 hours"は枯れて艶のあるトーンのギターと
あの渋い歌声が印象的だった。Mr.Bigと方向性はそんなに遠くはないのに
うまくいかなかったのが不思議。
黒っぽい、ソウルフルな声のブルースロック。
Richieは本職がギタリストなくせに、
あんまりギターの効用を信じていないんじゃないか、と聴きながら考える。
歌うような素敵なソロを弾くから、そんなこともないのかもしれない。
なんとなく、プレイヤーというよりコンポーザー、というか。
だから、レコードのテンションとしては、個性的なプレイヤーによる
インタープレイの応酬が聴ける(そして人間関係的にも緊張感がある)
Mr.Bigのレコードの方が上だ。
今のRichieはMr.Big在籍時より伸びやかだと思う。素敵なレコード。
その他、ロックとしては"sheeptown ALASCA"tasica、"革命"Andymoriなど。
ああ、Radioheadって2011だったのか。あんまりでした。
"James Blake" James Blake
今年一番印象に残った一枚。
ダブステップとか、僕にはよく分からないけれど。
声を隠すもの≒リズムの後ろ側の声、として、とりあえず受け取ってみた。
そしてその場所の居心地はけっこういいんだろうな、と想像してみた。
リズムの後ろ側に配された声は、音楽の一番外側で優しく包みこむ役回りだ。
そして突然、声が真ん中に現れたときに、ああ、とその存在を思い出す。
あるいは、声をプリズムに透かしてみる風景を想像する。
透明で冷たく、澄み切った声は、プリズムを介していくつかの要素に分解される。
分解された声は、それぞれに鮮やかな色を帯び、冷たい大地から開放される。
中空に放たれた声たちは、分かたれた自分の欠片を呼び合う。
いつしか声たちはまたひとつにもどる。元の冷たい大地に。
でも、最初より少しだけ、暖かみのある色になったみだいだ。
なんだか、まるで何かを祈るよう。
教えてくれた人も含めて、とても大切なレコードになるんだと思う。
"Niyodo"高木正勝
順調にエレクトロニカから離脱し。今年は2枚もレコードが出て嬉しかった。
"Tama Tama"の方が背筋がしゃんとする端正なピアノが耳を引き、
いつまでたっても背筋がしゃんとしない僕としては好みのレコードなんだけど、
今回はこちらにした。
Kazekogiはなんというか、童謡のような一曲。
聞いていると、そうそう、子どもの頃ってこんな感じだったよなぁ、と
妙に幼少のころを思い出してみたり。
そういうことっていうのは、今まで殆どなかったから、
なんだか不思議な気持ちにさせられるレコードだった。
ベトナムにいるから、郷里が恋しくなるのだろうか。
子どもの頃を思い出すことは、僕にとってなんというか、
思い出したくないような、気恥ずかしいような気持ちになる作業だ。
理由はよく分からない。だぶん高校生が中学時代を振り返るのが
イヤなのの延長みたいなものなんだろうな。
中二病的高二病的大二病的院二病的社二病な、社会人7年生。
まあ、今は絶賛ピットイン中だけどな。
ただ、こうやって改めて童謡のような曲ー子どもの声を聴くと
クラスで友だちと歌を歌っていたのを想い出す。ピアノに座る先生の顔も。
うん。あのときは、なかなかいっしょうけんめい歌ってたじゃないか。
子どもが音程がわからなくなって、あいまいに歌うところとか、
それを先生が導いている感じとか、とてもかわいらしい、と思える僕は、
いくらか過去を客観的にみることができるようになったとも言え、
昔よりも少しだけ、大人になったのかもしれない。
ああ、エレクトロニカとしては、"s(o)un(d)beam"Salyu × Salyuとか
とても面白かった。Salyuの声はとても好きだな、と思った。
こんな感じかなぁ。今年も素敵な音楽にたくさん出会えますように。