2014年6月14日土曜日

Gary Cheroneさん、Hurtsmileで帰還す

最近Extremeのツアーでいらっしゃってたそうですが。ヌーノのfacebookを見るともう韓国にいるらしい。いいなぁ。行きたかったなぁ。週末東京遠征とかしんどい。
新幹線の車中は2時間あるので、久しぶりにBURRN!を買ったんだよ。

今回はHurtsmileの新作"Retrogrenade"をご紹介。Hurtsmileってなんだかグランジーな名前だな。

RETROGRENADE
RETROGRENADE
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以下余談。
PANTERAのヴィニー・ポールのインタビューが載ってて、インタヴュアーの質問が秀逸。
(あなた達を含め)グランジは90年代に多くのヘヴィ・メタルバンドを"殺してきた”が、そのことをどう思うか、と。ヴィニーはこんな風に応える。
確かにグランジはメタルの世界で起こったことの多くを終わらせてしまった。でも俺たちはメタルの炎をできるだけ高く掲げようとしていたんだ。
いやーヴィニー先輩かっこいっす。なんでしょう、この、暑苦しいジャンル愛。「南部の偉大なるトレンド殺し」の二つ名に相応しい名言です。

"Far beyond driven"から20周年らしい。もうそんなになるんだ。こんなレコードが全米一位とか、あの国もずいぶん狂ってますね。それからKORNとかありちぇんとかまりまんが一位になるんですね。

たぶん彼らも順調に40〜50歳代になっているはずで、かつての「トレンド殺し」たちは殺される側に回ってもいい時間帯。にも関わらずここ20年のトレンドの移り変わりはあれど、大なり小なり「PANTERA的」なバンドは現在でも輩出されている。
PANTERAの好きな曲ベスト10やってもいいけれど、残念ながらこのエントリーの本題ではないの。



時代に翻弄された男をもうひとり。ゲイリーはExtremeのヴォーカル。PANTERAよりやや早いデヴューとブレイク。が、こういう言い方が正しいのかどうか。グランジ的颶風をドテっ腹に受け、揚力を失い、ついには墜落した。
Extremeは少しばかりデビューが早かっただけで、オールドスクール扱いされてしまった。同じファンク風味でもレッチリとどうしてこんなに差がついたのか。

でももちろん、いいことだってある。Extremeだって"More than words"でビルボード1位を獲得してるし。それに。

92年のウェンブリー。フレディ追悼コンサート。早くに得た名声は、彼らをこの場に導いた。
ブライアン・メイはショウの冒頭、こんなふうに紹介する。
彼らは本当の友だちで、この星のなかで彼ら以上にQueenを、フレディを、理解している人なんかいないんだ。

Extreme - Queen Medley (In Full) Freddie Mercury Tribute Concert 1992


エネルギッシュな、素晴らしいステージ。完全に聴衆をコントロールしている。ゲイリーさんはほんとうに声量がある。さらさらヘアーのヌーノさんはやっぱり貴公子然とした佇まい。Burrn!のインタヴューでゲイリーもヌーノもこのときのことを、キャリアのハイライトのひとつとして、懐かしそうに振り返っていたのも印象的だった。


ブライアン・メイの紹介はリップ・サービスだとしても割と丁寧だし、実際にそんな話も聞いた。ExtremeがQueenの後継者だ、と。だからこその"Three Sides to Every Story"の音作りなんだ、と思った。それはもちろん後日談。
でもBURRN!のインタヴューで、ヌーノはこんなことを云っている。
…(言葉を選ぶようにゆっくりと)別に自分達のことを偉そうに言うつもりはないんだけれど、あの日、本当のQUEENを知っていて、彼らがいかに重要だったかを知っていたバンドは、俺達だけであったと思うんだ。
僕は、なんだかとっても分かる気がする。ヌーノの言いたかったことが。

そして、このレコードがQueen的と形容したいくらいのメロディとクワイアが散りばめられていたからこそ、続く"Waiting for the puchline"の質感の違いには度肝を抜かれた。
苦いものをぐっと飲み下すようにして聴いていくと、甘みはぐっと抑えられているけれど、彼ららしいメロディはたくさんある。が、やっぱグランジに日和ったのね、と言われても仕方なのないのかも。シンプルでソリッドで、けっこう聴き込んだ。

ゲイリーに関して言えば、声としてはそれほど好きたタイプではないと思う。ただ、テンションに任せ、それに負けない豊かな声量と、時折現れる枯れたやさしげなトーンはとても魅力的。そもそも彼は、メロウできれいなメロディが好きなのだ思う。
追悼コンサートのステージでも分かる通り、Extremeってコーラス達者なバンドでもあった。ゲイリーとヌーノのハーモニー。パットもそうだけどさ。
ジョンとポール、サイモンとガーファンクル、ジョンとリッチーみたいなハーモニーの相性の良さってあるでしょう。
"More than words"の成功って、楽曲の良さとともにコンビの相性が輝くから、じゃないのかな。

Extreme - More than words


まさかのVAN HALENの加入やExtremeの再結成を経て、現在も着実に歩みを進めているようですね。
あと日本ではヌーノ人気だったよな。ソロツアーも絶対日本はあったもの。ヌーノがリアーナのギターに収まってちゃかちゃかやってても日本のファンは辛抱強く待ってたわけで。
その点ゲイリーはいまいちで、日本での露出が極端に減って。そりゃセックスアピールはもちろんヌーノに分があると思うよ。僕だって。だからといってミーハーすぎるだろう。君たちは。
昔、渋公にヌーノ見に行って、開演が遅れてお詫び握手会してもらったときになんだか上気しました。告白します。ヌーノまじかっけーし、高っかいし細っそいし、顔ちっちゃ!ってなった。ちなみに当方ヘテロセクシャルです。
VAN HALEN加入時の彼がとってもいいな、と思ったのは、"lll"にポップさやきれいなメロディがたくさん散りばめられてあったこと。リラックスして楽しんでいるように感じられたこと。
さていまなんじ? (27.5.2012)


で、ようやくHurtsmile。このバンド名義としては2作目になる。残念ながらディーザーも含め、不思議なくらい音源がほとんどない。プロモーション不足。これは問題だぜ。
"Retrogranade"はエネルギッシュな部分と、メロウな部分がうまくブレンドされている。

一番心に残ったのは、シンプルでポップで、少しだけ悲しい"I still do"。
彼の声の良さを堪能できる。

僕は歌詞が読みたいので、いろいろ探したんだけど見つからない。簡単に聞き取りができるほど英語が上手じゃないので。
コーラスで"I still do〜♪"が繰り返されている。なんだか、今でもまだ元気にやってるよ、と言われているような気になった。

Extremeは別として、ゲイリーさんの現在の到達点。
とってもいいレコード。これを確認できて本当によかった。