インドネシアに行ってきた。6月27〜30日の4日間。
ボゴール市は首都のジャカルタから約60キロ。バスで1時間という話だったけれど、ジャカルタ名物の渋滞にひっかかり2時間半くらいかかって到着。
インドネシアって極南でクソ暑かと思っていたら意外に涼しい。乾期だそうだ。自分史上最高に暑い都市は相変わらず東京のままだ。
出張の目的は泥炭林に関するASEAN主催のワークショップへの参加。
泥炭林とは泥炭層に生育している森林のこと。泥炭層はアメリカ、カナダをはじめインドネシア、マレーシア等に広く分布する。日本にもある。北海道とか。
泥炭林とは、ふつう聞きなれない言葉だ。なんだか汚そうだ。ピート、というともう少しマイルドだろうか。ウイスキーを蒸留するアレである。スモーキーな香りを作り出すアレである。ああ、ウイスキー飲みて。
通常の森林は枯死した植物は腐り、最終的に二酸化炭素と水に分解される。腐葉土が分解過程ということね。
泥炭地は草や樹木が枯死して、分解されることなく土壌として蓄積することによってできあがる。泥炭地の多くは多量の水分を含み、寒冷地に形成されることが多い。それは分解者の活性が低く、嫌気条件になりやすいからだ。
と、物知りgoogleさんは教えてくれた。
ではなんで温暖な東南アジアにも分布するのかというと、若干困る。水はもちろん多いけれど、微生物等分解者の活性は高いはずだから。たぶん、分解速度を上回る堆積量の結果、なんだろうか。次々と積もってしまえば、下層の土壌は嫌気条件になってしまうから。
その辺はよくわからない。
泥炭林は泥炭土の上に生えている森林のことを指す。別に泥にまみれているわけではない。英語ではPeat land forest、もしくはPeat swamp forest(泥炭湿地林)と呼ぶ。
泥炭林は炭素ストックを多く含む土地に成立している森林で、気候変動防止の観点から重要視されている。この泥炭林、近年減少しているという話。
ベトナム、カマウ省にもわずかながら泥炭林があって、配属先のスタッフがプレゼンすることになったので、プレゼン補助ということでついていった。質問の聞き取りやら、おかしな英語を直したり、やら。ベトナムも一応ASEANですし。
このワークショップはASEANとインドネシア環境省並びにGlobal Environment Centreにより主催された会議で
ASEAN Peat Land Forests Projectは泥炭林・泥炭湿地林の維持・回復を目的として設立された機関だ。
で、今回の実質的な参集者は東南アジア諸国の政府関係者・研究者だった。
二日間で10数名のプレゼンテーションを聞いたあと、ワークショップが行われた。参集者はのべ100名くらいというところだろうか。
泥炭林が保持している炭素の量は46 Gtというピンと来ない量で、地球上の炭素の8〜14%のに相当するという。
泥炭林が減少する主な要因は森林火災と土壌侵食とのこと。湿地帯が多いことから、伐採、あるいはプランテーションの際にクリークを作って排水することが多いそうだ。この排水とともに泥炭土も流出している。報告によればヘクタール当たり20tのCO2が排出されているとのこと。場所によって30年で2m、以上土壌が流出(沈下)しているという報告もあった。
泥炭林における火災も大きな問題。オイルパームのプランテーション時、あるいは再植林時にしばしば火入れが行われ、結果として泥炭土にも火がついてしまうとのこと。さすがは燃料に使われるだけある。
一度泥炭層に火がついてしまうと、埋み火のようになってしまい消火が非常に困難だ。この火災は、気候変動の問題以前に、特に乾期における大気汚染の大きな原因になっていることが報告された。