2012年8月20日月曜日

中部・北部へ② 〜モクマオウの林をつくる〜

前日のダム見学ではしゃぎすぎた。
咳が出るので、嫌な予感がしていたらしっかり熱が出ていた。
タバコがまずい。イベント時に熱を出す性格は幼少のころから培われている。まったく。
そして中部の夏は、南部の夏よりも暑い、ということも知ったり。





さて、旅の続き。


中部では乾期の降雨量が極端に少なく、樹木の成立に厳しい条件となっている。また飛砂による農作物への被害が懸念されることから、モクマオウを植栽し飛砂を防止する事業が行われている。日本で言えば、飛砂防備保安林とかで植えられている海岸クロマツ林みたいな役割を果たしている。
本プロジェクトも無償資金協力で、国際航業が受注し事業全体の調整を担当し、植栽業務については王子木材緑化が受けて地元の企業・住民を雇って実施しているとのこと。

ところで、もくまおう、といえばCoccoだろ、という主張は、読者諸兄姉の同意が得られるだろうか。






















ベトナムではかつて低下した森林率を回復させるため、「500ha植林運動」という事業が実施されていて、その関連で海岸にモクマオウ林がある。その事業で植えられた林はすでに立派に成林している。

本プロジェクトで実施されたのは、その植林運動で活着の見込みがつかず放置されていたエリア。つまり条件が厳しい場所だ。プロジェクト事業地は5箇所、414.49haで植栽されている。2,500/ha植栽。1年生存率は75%であるが、補植を行い90%まで上げているとのこと。





貯水池プロジェクトで述べたとおり、中部は乾期における水分条件が悪く、また海岸は飛砂や塩害により特に樹木にとっては生育の厳しい条件である。上は昨年植栽したモクマオウ林。生育状況は良いと感じた。飛砂による影響がどれくらいなのかはよくわからないけれど。





また、土壌の移動が防止されたことによる落葉落枝の堆積も確認できた。ただ、水分条件が非常に深刻で、乾期まっただ中、7月下旬という来訪時で60cm以上掘り返してもわずかな湿り気しか出て来なかった。むしろよく枯れないもんだと感心する。
王子緑化の方によるとモクマオウはアレロパシーがあるため、他の植物の侵入が難しい。また、モクマオウそのものの寿命が短かく(60年程度らしい)、現在の水分条件では実生による更新は相当困難だろう。




現存・生育しているモクマオウ林から、今後どのように変化させるのか、というところにも興味がある。
例えば、なにか、透水性の低いもの・あるいは含水率の違うもの(例えば遮水シートとか・大量の藁束とか、よくわからないけれど)を筋状に埋めてみるのはどうだろうか、とも思った。
年間雨量はあるわけだから、一時的でも条件が変化してしまえば、それをフックとして生育する植物は他にもありそうだな、と。お金がかかるけれど。


発注元の農業農村開発省の担当者が視察に来たとき、まさか本当に植栽できるとは思わなかったような反応だった、というこぼれ話も。それにしてもツーリスティックな場所でもないので、ひっそりと林ができるのは、なんだかもったいないような気もする。
日本の植栽技術すげーわ、ということもあるけれど、大切なのはきちんと規格どおり穴を掘り、しっかりとした苗を上、きちんと埋め戻す、ことだろう。どこだって同じだ。

それを雇用した地域住民に植栽方法を指導して、実際に植えつけること。管理の苦労は想像を絶するだろう、とお話聞いていて思う。大事なのは管理です。ウミンの植林の現状を見ていると頭が下がる。
















そして、大学の後輩さんとお会いした。世界に羽ばたく信州大学。
先輩としては、風邪ひきでテンション低くてほんとすまぬ、という感じ。