2012年8月20日月曜日

中部・北部へ① 〜ダムをつくる〜

南の端にいると、国内を旅行するのも億劫になる。
カマウ市に出るのに1時間。ホーチミン行きの飛行機は一日一往復。
スタートラインに立つのに1日かかってしまう。















まずはダナンより南下。ホイアンの日本橋はマジ(´・ω・`)ガッカリ…だな、
という新しい知識を携え、クアンガイ省へ。
あ、街並みはとってもキレイですよ。
日本というより中国というか、フランスというか昔のサイゴンってこんな感じだったらイメージ通り、という感じ。よけいわからんか。



クアンガイ省 小規模貯水池復旧事業
ODAの無償資金協力に分類される。経済成長著しいベトナムではだいぶ少なくなった。
実施機関はJICS。JICSといえば2年前、協力隊受験時にエンバンクメントについて調べたとき、怪しい団体だな、と思ったけれど、別に怪しくない団体だった。すいません。
久々にダムが見れるとあって、こりゃおもしれーわ、と見学させてもらう。



ベトナムはベトナム戦争後、農用水の確保を目的とした溜池が多数作られた。その数約2,000ともいう。元々中部は雨期が10月〜2月くらいまでで、乾期にはほとんど雨は降らない。また、山からすぐ海に注いでしまうためしばしば水不足が問題となるとのこと。
築設された溜池も経年劣化で決壊の恐れがあることと、現在の農用水需要に対して供給が不十分であることから、このプロジェクトが実施されている。



中部クアンガイ省郊外は一面の水稲地帯。ほかに大きな産業はないとのことで、この案件形成が図られたのだろう。


事業は7箇所の貯水池に対して、堤防の増厚・嵩上げと取水口・用水路の整備が行われている。今回は3箇所の現場を見せてもらった。
修繕が行われているダムの堤長が600mとかなので超巨大である。僕の作っていたダムなんてクソみたいなもんである。

土盛りダムなので多分アースダムと呼んでいいのだと思う。よく知らないけれど。嵩上げをしているにしても、そもそも人力でこれだけのものを作ったということに驚き。
そして現在でも人件費の安いこの国では人力施工は巾をきかせている。乾期で水も少なく、工期が近いということでしゃかりきで働いていた。
















そしてバックホウ。ベトナムではよく日本の中古の重機を見かける。○○工務店とか。
89年モノにであったのは初めてだ。にしても建設省って。



















いわゆる洪水吐を作っているところ。計画貯水量以上の水深になってしまうと堤が破壊される恐れがある。アースダムってよく知らないけど、コンクリートダムより弱いと思うし。余剰水は速やかに流さないといけない。それにしても中部って土が赤いな。

面白いのが基礎杭に竹を使っているところ。在来工法なのだそうだ。南部だったらきっとメラルーカを使うんだろうな。今回の工事で最初に使用した竹杭を引きぬいたけれど、腐ることなく十分な強度を保っていたとのこと。伝統とはバカにならないものだ。

ダムの基礎設計及び安定計算はベトナムの大学の研究室に委託した成果を用いているとのこと。しかし床堀深が浅すぎやしないか?安定計算だいじょぶか?コンクリ打設の順番どうなってんだ?という細かい疑問が尽きなかった、が、まあいいか。

それにしても、弁なんかで貯水量をコントロールせず、洪水吐から自動的に流れていくから基礎から破壊されることはない、ということなんだろうか。そうなんだろうか。
少し考えこむ。が、結局わからない。






















こういったダムを作ることによって、この一帯の農家は二毛作から三毛作が可能になるとのこと。収量が30%増えるのであれば、それは農家にとっても有難いことだろう。




しかし、あんまりフォトジェニックではない、と思ってしまうのはダナンで建設中のKOICA(韓国のJICAみたいな機関)のバカでかい病院を見てしまったせいもある。
いや、KOICAさんすげーわ。


話を戻す。
農業としての側面を考えれば、ハードはこれでいいとして、ソフトとしての農業をどういう風に立て直すか、という気がする。メコン・デルタでも、中部の方でもよく話を聞くのは、「ミドルマンによる搾取」だ。
収穫物が仲買人に買い叩かれてしまう。米でもエビでもコーヒーでもメラルーカでも。似たような話を聞く。組合みたいなのを作ってロットを大きくして価格交渉力を、と頭がいくのだけれど、この辺の人はどうも及び腰であることも聞く。
ハードとソフトは車の両輪のようなところがある。ソフトの部分をどのように支援できるか、というところが僕の脳裏にはある。
そしてソフトの仕事はなおさらフォトジェニックじゃない、ということもあるしな。こういうことを考えると難しいな。

あ、ダムは好きですけどね。