2012年9月16日日曜日

音楽とマーケティング

つづき。


この国では韓流が吹き荒れている。
誰ですか。韓流なんて日本だけ、といった人は。


一時帰国したとき、横に載っていた女の子がベトナムちまきを猛然と食べながら猛然と韓流スターの雑誌を読んでいました。もちろんベトナム語の雑誌。5冊くらい持ってた。
「明星」(ってもうないの?)みたいな、ティーンエイジャー向けの雑誌ってどこにでもあるんだな、にしてもよく食べるな、という複雑な思いが交錯する帰国便だった。
だって、機内食を食べたあとですよ?






少女時代やらなにやら、韓流だけが流れるチャンネルがあった。コンテンツの売上には簡単には結びつくのかはわからないけれど、ベトナムにおけるコリアン・ミュージックのプレゼンスを向上させるだろう。


Radioheadの"In Rainbows"で世界が予見したのは、音楽ソフトの価格が限りなく低くなっていく未来だ。ソフトの代わりにコンサートやマーチャンダイズ、限定版みたいな豪華なパッケージを売る。ソフトをテコにしてモードやスタイルを売っていく。
レコードはある意味で、予告編/Trailerに過ぎない存在になった。

キッチュでセクシーなアイドルの身に着けている装飾品やスタイルを買う。そしてカラオケで歌う。ガガ様みたいな生肉ドレスとか、RihannaみたいにDVのアザまで買いたい人は、さすがにいないか。
コアなファンは高音質版のレコードを買うかもしれない。そしてライブに来る。チケットとマーチャンダイズを買う。ついでにビールも飲む。


もしソフトをTrailerと認識していてテレビに流しているのなら、それは立派な戦略だと思う。海賊版についてもある程度腹をくくっているだろう。著作権を守ることに汲々ている日本よりははるかに前向きだ。
ベトナムにおける日本のソフトイメージは「おしん」で止まっている。おしんは一つの価値観であり美徳であっただろうが、少女時代やRainbowのセクシーさと比較してはいけない。
キッズはある種の価値観を買けれど、少なくとも親どもが好きな価値観は買わない。

ベトナムキッズは「クール・コリア」を享受する。ただ、海賊版事情があるのでどうやって資金を回収するのかを考える必要があるだろう。
どうやってベトナムキッズのおこずかいを巻き上げるか。
なにしろこの国、これからキッズが増えていくからね。


そういえば、インドネシアでロック好きのインドネシア人にあった。しばらくオジー・オズボーンのクレージーっぷりについて熱く語り合ったあと、日本のロックで何が好き?という話をしていて「少年ナイフ」と断言してたのが印象に残っている。少年ナイフは日本だとそんな有名じゃないぜ、といったら理解できないという顔をしていた。

「今の日本な何がクールなんだ?」と聞かれて「神聖かまってちゃん」と答えてみた。律儀な彼は"shinsei-kamatte-chan"とメモし、youtubeでチェックするぜ!と言っててました。さてさて、お気に召したかどうか。しねーさとー、とか意味不明かしら。
ちなみに、インドネシアで一番有名な日本人はポルノスターのマリア・オザワだ、と断言。インドネシアでは炊飯器のCMに出ているらしい。
うん、なんだかとってもべんきょーになった。


腕に「禿」と大書した外人を見かけたことがある。日本人からしたら(多分中国人からしても)失笑なものなわけだ。でも当人からしたらクール・ジャパン(あるいはクール・チャイナ)なわけだ。
オレにはわかるぞ。漢字カコ(・∀・)イイ!! と思ってるんだろ。

こんなエピソードもある。Slayerのトム・アラヤは(そういえばこの人も日本で腕に「荒矢」というタトゥーが。荒矢さんことアラヤさんはチリ人である。)は、日本の音楽誌に出ると「笑顔で」と言われて気持ち悪い、とこぼしていた。
でも強面のアラヤさんが笑顔で雑誌に載ると、なぜかほっこりしている自分がいた。

受け入れられることと、それが正しい理解であるか否かというのはあんまり関係がない。
ただ、マーケティングをするなら、どこがウケているのかを知る必要はあるんだろうな。

少なくとも、アラヤさんはビックスマイルで雑誌の表紙に収まっていたよ。