2014年5月10日土曜日

形容詞が気になるお年頃

手がけていたカズオ・イシグロを新幹線の中で読み終える。でも京都からジオノを2冊ばかり仕入れてきたので、積ん読は増える。来週の出張あたりで読もうと思う。村上春樹の新刊はどうなんでしょう、と思うんだけれどそこまで手が回らない。

そもそもガストン・パシュラールの『空間の詩学』が難解すぎて、ずるずると他の本に浮気している最中なわけで。寝る前にふとんに入って本を開くとたいてい、開いた瞬間に寝てる。むしろ開く前に寝てるね。不眠症のひとにおすすめだよ!

空間の詩学 (ちくま学芸文庫)
ガストン バシュラール
筑摩書房
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カズオ・イシグロは相変わらず格調の高い文体で、読んでいて気分がいい。でも後半はいつも焦る。展開が一気に加速するのだ。ページを捲るスピードがあがる。
そんな僕を友だちは、作者のドツボだと云う。そうかもしれない。好みとしては一話完結というか、ひとつひとつ課題をこなしていくほうが安心する。どうも作者視点にはなれなくて、徹底的に読者なんだろう。ええ。願わくば善き読者でありたい。

「あの方は実に聡明な女性です」とか。ぐっとくる。普段、人の形容、ひととなりを表す言葉ってあんまり使わないな。いい人、やさしい、(仕事が)できる、明るい、ネクラ、グズ、いいかげん。
あれ。語彙が少ない。しかもネガティブ。
もちろん小説だから、というのもあるんだろうけれど。その人の性格を形容するんだから、三人称で語られる場合の方が多かろう、実際。あなたグズですね、なんていったら刃傷沙汰まっしぐらだし。
もう少しお互いなけなしの美点をみつくろって、具体的に褒めあって、その辺の形容詞が磨かれるとなんだか素敵な世の中になる気がします。

彼は果敢に物事に取り組む男だよ、とか言ってみたい。衒いなしで。いやむしろ言われたい。中世のヨーロッパとかに生まれたらよかったんだろうか。

まずはそれに価いする内面を磨きなさいね、と言われれば、返す言葉もないのだけれど。