2014年5月18日日曜日

ちかごろのベトナム情勢について勝手に語る

どうもきな臭い雰囲気が漂っている。
僕は南部の人間なんで、ハノイの考え方はよく知らない。



中国キライ!っていうひとはたくさんいる。日本スキ!っていってくれるひとも。面白いんだけれど、なんで?って訊くと、中国の製品は質が悪くて、日本のやつはいいからだ、という。なんてカスタマーな回答なんでしょう、と感心した。
僕はあまのじゃくなんで、中国製品だって最近はなかなかだろうよ、安いし、と云ってみるんですが、何言ってんだこいつ、という顔をされます。
南沙・中沙の話を振ると、さすがに激昂するひともいますね。日本とはセンカクを巡って共闘できると胸を張られました。なるほど。

まずデモについて。ほぼ100%官製デモでしょ。バイト代が出てるんじゃないか。盛り上がってたら近づかないように。

ベトナムは一応社会主義国なんだけれど、質感は中国とは大きく違うと思うんだ。中国行ったことないから、あくまで印象としての話ではあるけれど。何が違うってホーおじさんは、毛沢東とちがって泣き虫先生だ。指導者が人格者だったから社会主義冷徹さはないなんて言わない。彼を憎むひとだってたくさんいるようだ。

匂いを嗅ぐ
種明かしすると、エージェント・オレンジっていうのはダイオキシン薬剤のことです。きれいなオレンジ色の、頼れる相棒、というほどの意味でしょうか。もちろんアメリカにとっての。
あと、現物博物館っていうのはホーチミンの戦争証跡博物館のこと。当時、ベトナム語の勉強中で先生のいったことをそのまま訳してたわけですね。とほほほほ。
3階にある「現物」っていうのは、機会があればご自分の目で確かめて下さい。


実際、発行される新聞や雑誌はすべて、共産党系ということになっているはず。仮にきれいなねぇちゃんが載っていたとしても。
今はしらんけど、僕が行った時は Facebookにアクセスできなかった。なにを意図していたのかわからないけれど、統制してやろう、という意思は感じる。
たぶん、僕にはひとりエージェントといって構わないようなひとがついていた。よく遊びにいってメシと酒をごちそうになったので別にいい。ちょっと前に北西部で外国人が起こした(と思しき)いざこざもあったりとかして、田舎にいる外国人なので仕方がない。そもそも僕は反乱を煽りにいったわけじゃなくて、林業しにいったんだ。りんぎょー。


泣き虫先生を指導者として仰いでしまったせいだかどうだか知らないけれど、どうも共産党の地位は相対的に低い。中国とくらべて。もちろん県庁や市役所の横にはでっかい共産党の建物がある国です。日本とはもちろん違う。
でもベトナム共産党は結構怒られている。国民に。特に農民に。
労働争議みたいなことはあって、しばしば手を焼いている。平たく言えば困ってる。そこから見える風景は、中国における共産党の風景と少し違う。もう少し弱い。それだけ国民が強い、ともいえる。

また中華の周辺国らしく、歴史を引きずっている部分もある。ハイ・バー・チュンというストリートの名前はベトナム中どこにでもあるんだけれど、チュン姉妹という「抗中英雄」を称えているものだったりもする。
漢字をはじめ、たくさんの文化が輸入されてできた国であったのは間違いなくて、その辺は愛憎半ばしているのだな。


もし、海上でも、国境でも、たくさんの血が流れることがあれば、たぶん、国民はすごく怒るだろう。もう怪我人が出てるという話もありますが。そしてベトナム共産党は、国民をコントロールできなくなるかもしれない。
数も性能も負けていて、かつ、「銃後」の国民がものすごく怒っている場合、普通、退きづらいですよね。余計に血が流れないかと心配しています。
コントロールを失うのがこのケースでは一番危険だと思う。良くも悪くも暴発を押さえ込める中国共産党はやっぱストロングだ。
ここらあたりでの切所は、たぶんそこなのではないか。

どこの、誰の血も流れませんように。


この国の40半ば以上のひとの多くは戦争を経験しているわけです。僕のまわりのおっちゃんたちは銃を担いでカンボジアに行っていた。カンボジアを「助けに行った」のだ。クメール・ルージュの時代。
2つの風景
なんだか喋りたくないような、喋りたいような、でもやっぱ喋りたくないや、っていう文章を書いてますね。
誰も彼もが好戦的とは思わないけれど、日本人の僕らよりははるかに戦争を身近なものとして感じていることも、また事実だ。


事務所でひまなときに、トゥアンおぢとセンカクの話をたくさんしました。たぶん彼は政治好きなんですね。
おぢいわく、僕らは船に乗って、センカクにアカシアの木を植えに行かなくてはいけないらしい。なんで?と聞くと植えて、伐って、売るからだそうです。
ぜんぜんなっとくいかねーんですけど。
旗でも立てたほうが、と2秒くらい考えた。でも、そんなことを考えないくらいハードワークしてたり、あるいはハンモックでだらだらしているほうがずっと平和な気もします。ここの尾根が終わったら次はあの岬に植えるぞ、みたいな。


そもそもセンカクでアカシアは育たんと思うんだけれど、それはまた別の話だ。