2014年7月5日土曜日

訂正報:Thin Lizzy to Black Star Riders

Ricky Warwickさんについて書いた以前のエントリーについて、間違えてた。
The Almighty のRicky Warwickさん、Thin Lizzyで発見さるる 

もはやThin Lizzyとして活動はしてなくて、Black Star Ridersという別バンドを組んでいた。
どころか、なんと来日公演を先日さっさと済ませていたくらいの失態です。すみません。
ちがうんだ。オレが悪いんじゃなくて近況までフォローしてないwikiが悪い。まあ、実態は変わらんし。そんな訂正が本エントリーの主題であります。
でもそれだけだとアレなんで。


先日友だちと音楽の話をしていて、"Falling Slowly"を久しぶりに聴いたんだ。僕は映画を見たことがないのに"Once"のサントラだけ持っていた。ラジオで流れていて、いいな、と思って。
そんなことがあったもんだから。改めて映画を見てみて、ああ、こんなストーリーだったんだねぇと面白く見ることができました。


ネットでレンタルできるだなんて、まったく便利な時代であります。


僕は"Falling Slowly"で知ったから、やっぱりこのシーンが印象的でした。ネタバレ注意。

Once - Falling Slowly Movie Scene

うおーあまずっぱい。
思い出したよ。くずみせんせい率いる4年2組の、めあて、は、ハーモニーだった。なんだよはーもにーって。と。
実に素敵じゃないですか、ハーモニー。やわらかく寄り添うような声が側にあれかし、と願ってはや幾星霜。願うだけでは叶わないのだよ、ワトソンくん。
グレンさんとマルケタさんは撮影を機にお付き合いを始めた、という話は聞いたけれどwiki先輩によると09年に終わりを告げたそう。最新情報には疎いwiki先輩は、意外に下世話な情報に通じている、ということを知った。グレンさんもなかなか苦労されているようです。


そうそう。それでね。映画です。
レコーディングするために主人公はバックバンドを捜す。で、ストリート・ミュージシャンを調達するわけですが、彼らに「俺らリジーしかやらないし」と云われるわけですよ。グッと来る。

そうそう。それでね。話はようやくThin Lizzy〜Black Star Riders。
言わずと知れたアイルランドが産んだ伝説のヒーロー、のリジーさん。現在の彼らがThin Lizzyとして演奏しているわけじゃなくて、Black Star Ridears名義で活動していること。きっと、俺らよく考えたらThin Lizzyじゃねーわ、となったんですね。
ジョン・サイクスを入れてThin Lizzyを断続的にやっていて、気がついたらオリジナルメンバーはスコット・ゴーハムしかいない。となると、確かにそれは別のバンドだと言われても仕方ない。
フィルの死後、軽く30年くらいは経ってしまっていて、今だに"リジーしかやらない"ってアティテュードの猛者がダブリンにいるのかどうかは知らない。でも手を変え品を変え、相変わらず彼らの曲は演奏されている。

初めてフィルの声を聞いたのは、以前のエントリーで触れたとおり、たぶんくずみ先生が担任をされていたとき前後だと思うのですが、実際にThin Lizzyをそれと認めたのは多分高校生、Bon Joviが"Boys are back in town"をカバーしているのを聞いた時だと思うんだ。忘れたけど。やっぱラジオだった。
軽快に刻まれるシャッフルのリズムに心躍るメロディ。ツインリードがふんだんに盛り込まれていて、実に楽しい。ギター・ハーモニーの面白さを感じたバンドという印象。


Thin Lizzy - The Boys Are Back in Town
 

やー。きれいな映像が残ってたもんだ。
若かりしジョン・サイクスが左側にいるってことは解散直前、80年代冒頭だろうか。

彼らのツインリードのハーモニーを聞くにつけ、夏のあったかい海をたゆたっているようなイメージがある。生暖かい海の中で、全身の筋肉を緩めきって、ぷかりぷかりと浮いている。時折、柔らかく押し寄せる波に身体を預けて。
たぶんすごいアルファー波が脳内を踊り狂っている。3分くらいからのソロ。実に心地よい。

共振覚とか、そういう超能力はないです。でも表現するなら青と黄色。バスクリン的な緑色になったり、あ、やっぱお前ら青と黄色じゃねぇか、と思ったり。
太い音色の二本のギターの音が重なるとも重ならないともつかず、寄り添い合うんです。で、響きあう。音とは実に不思議なものです。



んで、改めてBlack Star Ridersのレコード。これは佳作でありまして。
佳作っていうと特選じゃないのかよ、って思う向きもありましょう。それは小学校のときの書道コンクールとかの悪しき影響ですきっと。佳い作品、という風に解して下さい。佳、という字はけっこう好きなんです。
Black Star Ridersで検索したらちゃんとたくさんヒットするじゃないか。なんで気が付かなかったんだろう。これはもうね、Googleさんの陰謀ですよ。

Black Star Riders - Bound For Glory


メロディとか、節回しとか、尺に合わないセンテンスの詰め込み方とか、ちょっとThin Lizzyっぽい。レコードを聞きながら、これはChina Rose?などといろいろなことを考えるわけなんです。フォーマットの共通性はやはり感じる。
しかし、コピー/焼き直しという指摘のすべてを粉砕するのはやはり、リッキーさんの暑苦しく、男臭い吐き捨てボーカルであります。



BLACK STAR RIDERS - KINGDOM OF THE LOST

もはや演歌の領域。トラッド風味もあいまって。伝統芸能の域に達しています。歌詞ちゃんと読んでないけど、なんだか歴史に翻弄されるアイルランドの悲哀を感じさせる内容です。グッとくる。
ちなみに"Bound for Glory"は敢えて「兄弟船」とでも訳したい。
まさに「男の子の歌」ではありませんか。違いますかみなさん。

凍てつき、荒れ狂う海原に向け、ロマンとアルコールを燃料に舟を漕ぎだすわけですね。わかりますわかります。すげーわかる。男の子マインドのひとつの様式美であります。
ディスカバリー・チャンネルでやってるトロール漁みたいな。ジャック・スパロウでもいいですもちろん。
どちらにしても僕は極限におけるあらくれどもの雄々しい生き様を、うわーさっむそー、きっつそー、などと月並みな感想を述べつつ、お茶の間でこたつに入って熱いお茶を飲みながら見たい派です。

ちなみに、女性の様式美の系譜はなんでしょう。あなたと超えたい天城越えでしょうか。そんな時代じゃねえだろ、という気がすごくします。セクハラとかで訴えられそうな勢いです。うそです。こういうのが良くない。気をつけよう。
女の人はこういうのって子どもっぽいって思うんじゃないのかなと思うんです。男の子は勇壮で掛け値なしにカッコイイと思うんだけれど。
あれです、さながら戦隊モノのテーマソング。子どもっぽい、と笑わば笑え。


リッキーさんは、けっして器用なシンガーではないけれど、独特の雰囲気があるし、こんなに歌えるなんて知らなかった、とThe Almightyの時代を知るものとしては驚きですらあります。Lizzyのカラーでもあった、アイリッシュなメロディと彼の男臭さは妙にマッチしてますね。

スコットじいちゃんがいるせいで、割と平均年令が高いバンドに仕上がっている感もありますが、リッキーの若々しい声はよいカラーになっていると思うな。
バックバンドはもちろんタイトで溌剌としている。ドラマーのジミー・デグラッソってどっかで聞いたことあるな、と思ったらMEGADETHの人でしたね。


前の記事で張ったやつよりこっちのほうがカッコ良かった。
Black Star Riders - The Boys are back in town Live@HiRock Festival 2013
 

くっそタイトですね。とくにジミーさん。物足りねぇぜ、とか思わないのかな。原付に2500ccエンジン乗っけたみたいな余裕を醸しだしてます。

いずれにしても伝統芸能とは、良いと思って続けていく人がいなければ続かないわけで。
いいよね。こういうの。