雨の日の船は雨滴が痛くて寒くて仕方がない。
晴れの日の船は熱々の鉄板に乗せられた気分。ということがよくわかった。
曇天、という都合のいい天候はあんまりないんだな。
まずいな、まったく何言ってるかわからん。困ったものだ。
なんとかご飯は食べられる。でも仕事をしにきたのだぞ、と思う。
日本人の専門家の元で慣らし運転をしている。来週いっぱいまで。
それが終わったら、ウミンハという村に赴任する。
省都から車で1時間、船で1時間半ほど。
挨拶がてら引き回してもらっているが、おっちゃんたちのいうことがわからん。
とにかくなんとかサバイブするしかないだろう。英語も不可。
笑みとお酒とタバコでカバー。
これしかねぇ。でもそれじゃ仕事できてねぇ。
種々の想念により、腹の底まで冷え切ったところで空を見る。
雨がやんで、青々とした空が。
なんだかぽかーん、としてしまう。
こんな広い空に出会ったことはない。
伊那に住んでいたときも広い空がお気に入りだった。
目の前にある南アルプスが空を切り取るせいで、
きっとここの空は広いんだ、と思っていた。額縁。
ここは額縁すらない、とめどない空がある。
もちろん、運河と森が空を切り取る。
でも、運河は、やっぱり空の青さを映してしまう。
空が、大きすぎる。
あっけに取られながら、来た道、というか水路を船で戻っていく。