2012年11月27日火曜日

たまごのことは別にして、インフレ率であそぶ

たまごのことを考えながら、インフレ率であそぶ
たまごのことを考えながら、インフレ率であそぶ②
つづきといえば、まあつづき。

総選挙で金融政策が焦点となっている。僕も素人なので、いろいろな話を聞いていくしかない。金融緩和がいいことなのか悪いことなのか、というところで識者の意見が異なっている、というところまでは判った。
僕としては、よくわからないなぁ、と思っているにすぎない。勉強不足なのだ。




急速に物価高(インフレ)が進むと、ものが買いづらくなる。インフレ10%で給与伸び率も10%だったら変わらないけれど、普通そんな速やかに給与は調整はされない。

「来週ガソリンが値上がりする」とわかったら、給油所に長蛇の列ができる。来週の通貨の方が今週の通貨より(ガソリンにおいて)価値が下がる。狂乱物価が進行中の状況では宵越しの金は持たない選択も正解といえば正解。モノを手に入れていた方がいい。

継続的なインフレが発生している場合、通貨の価値の下落が問題となる。ベトナムでは50万ドン札が最高額紙幣だけれど、日本円でわずか2,000円程度だ。確かにベースとなる物価は安い。が、例えばほんの10年ほど前の最高額紙幣は5万ドンだった。5万ドンで買えるものが減った=ドンの価値が下落が高額紙幣を発行の理由だ。
ベトナムでは大人数の飲み会をすると会計が大変だ。お会計1000万ドンだってありうる。1000万っつたら、フェラーリでも買うのか、という話だ。
最高紙幣をもってしても20枚数えないといけない。日本だったら一万円札4枚で済んでしまう。そう、お会計が大変よね、この国。そもそもオレ酔っ払うとお金数えられないし。


一方、デフレなら通貨の価値が上がる→同じ金額で買えるものが増える→物価が下がる、ということですよね。今の日本は。
デフレ下では貨幣への信任が増す。商品より貨幣の方が高い。貨幣をもっておけばおくほど価値が上がる。だから、貯金するのは仕方ない。消費を増やすにはデフレトレンドからインフレトレンドに変わる必要があるよな。
あ、僕は貯金ないですけど。

ところで、明日の貨幣は今の貨幣よりも価値が低い「ちゃんとしたデフレ」であれば、銀行に預けていても利子はつかないかもしれない。ゼロ金利、どころか追い銭になっている例(ロイター通信 「一部銀行、スイスフランとデンマーククローネにマイナス金利適用」 (10/10)が出てきている。
仮に国の政策金利がマイナスになったら、運用先として国債を購入している市中銀行の利子だって、やっぱりマイナスにすべきだろう。そしてその際のマイナス幅は国債利回り<銀行金利になるはずだ。たとえば国債金利が−1%なら市中銀行の金利は−2%みたいな関係。銀行が利ざやで稼ぐとしたら、そういうことになるだろう。それか、株式運用に集中するだろうか。

銀行の顧客は預けるだけ損をする。それでも預けるメリットは安全性と円という通貨の信頼性、くらいだろうか。やっぱみんな解約してタンス預金するだろうか。それでドロボウが増えたらやっぱり銀行に戻るだろうか。


でも、もう少しその先について考えてみる。そういう世界では、貸し出し金利だってマイナスになるんじゃないのか。100万円借り入れると99万円返済すればいい、とかね。これは借りやすい。お金を借りたい人は全額返す必要がない世界。資金需要は上がるだろう。
その際のマイナス金利の大きさは、市中銀行貸出金利<預金金利になるだろう。貸出金利が−1%だったら、預金金利が−2%という関係。そうしないとやっぱり銀行は稼げない。
まあ、一貫して預金者には優しくないわけだが。

借入れられた資金は民間投資を刺激する。設備投資が増えてそれに携わる企業の売上を増やすだろう。で、給与や物価が上がってインフレに転換する、と。
インフレとデフレが調整される関係になるのだとすれば、「デフレ時の正しいあり方」(なんだそれ)な気がする。「不徹底なデフレ」がデフレを長引かせるように思えてきた。


他方、昨年度と今年度、我らが新潟県は「マイナス金利制度」なるものを行なっていた。例えばこんな記事
「新潟県:再生可能なエネルギー発電等の設備投資を促進します」(6/6)
もちろん新潟県はスイスやデンマークのように中央銀行を持っていないので政策金利はいじれない。この制度は、設備投資などで借入をする企業に対して、借入の利子分を補給するもの。
借入には当然利子がつくが、利子分を県が肩代わりしてくれるので企業にとっては借入金だけ心配していればいいことになる。設備投資を行いたい企業にとっては、当然お金は借りやすくなるだろう。
要件にある県内企業発注率30%以上とか、新規雇用1名以上とかニヤリしてしまったが、ドナーである以上これくらいは云ってもいい。

この「マイナス金利制度」の推移について少しだけ関心をもって見ていた。新潟の第二地銀であると北越銀行によると、融資予定額が100億円を突破したいう(北越銀行 新潟県「円高対策設備投資緊急促進事業」(マイナス金利制度)を活用した県制度融資の取扱状況についてお知らせ(9/14))。

昨年度の話だが、「(マイナス金利の予算計上として)10億円を計上した結果122億円の投資が誘発された」と泉田知事は述べている(平成23年度8月25日 泉田知事定例記者会見要旨)。予算の10倍以上のレバレッジがかかったのなら、けっこうすごいのではないか。知事の言うように、「デフレ経済というのは、借金が将来に渡って自動的に増えていく状況」であるというのにはなるほどな、と。それは設備投資をためらう要因となるだろう、と。

上の施策の効果ってなんだろうか。最近見かけた議論としては小笠原誠治さんの論考「安倍総裁をコケにする池田信夫の説得力」が参考になった。前段の池田信夫さんの議論にはほとんど関心がないのだが。

小笠原さんがどういう御仁なのかしらないけれど、後段の記述は興味深い。ちょっとだけ抜粋。
金利がゼロでも企業がお金をかりようとしないのではなく、企業からすれば、このゼロ金利の時代だというのに、銀行の提示する金利がこんなにも高いから融資を受けることができないのです。」
新潟県の「マイナス金利制度」は、この悪循環を補うものなのか。借入原資の金額はもちろん企業がそれだけの投資を行うと判断したわけだから、当然返せる見込みがある。一方で、その借入を行うには利子が高すぎるのであれば借入しにくいだろう。「不況だから(設備投資等に使う)資金需要がない」説に対して、「現在が資金需要に見合う利子ではない」説も捨てがたい。加えて、「デフレ下では借金は自動的に増えてしまう」泉田説も、企業が借入れを忌避する理由になる。

県でできるマクロ政策ってこんな感じになるんだろうか、と思ったり。