2010年1月24日日曜日

COP15とアイディア

あんまりちゃんと確認してないから解析不足は否めない。

森林吸収源に関する話題はほとんど聞こえなかったように思う。
それ以前の先進国・途上国間の隔たりを埋める方法を
模索しているようだった。

考えてみよう。
現在の気候変動の責任は誰にあるのか。主因者はやっぱり先進国だ。
だから、先進国は気候変動対策を実施する必要がある。
これはいいよね。
同時に今後、大きな排出が見込まれるのは途上国だ。
だから、途上国だって気候変動対策を実施する必要がある。
これもたぶん真だろう。

問題はこの切り分け方にある。
GHGは量であって、時間ではない。全体量が増加すれば、気候変動に
及ぼす影響は大きくなる。ここ数十年の先進国のGHG排出の寄与率は
ほぼ過半といってよいだろう。今現在の切り分けでみても加害者であろう。
しかし、これが20年後、30年後になってみると双方の寄与率が
変化する可能性が高い。
先進国は偉大なる「先鞭をつけた」かもしれないが、この先はどうなるのか
は誰も分からない(けど推定はできる)。
先進国は過去の排出の責を認めるのは(たぶん)やぶさかではないと思う
だろうが、今後のことを考えると途上国の排出抑制すべきだ、と考えているし、
繰り返しになるけれど、途上国は過去の責任をもって、まずは先進国で
自律的な解決をすべきだ、と主張しているわけだ。
視点がずれているから、噛み合ない。ようにみえる。


もっとも時間軸的な責任論を持ち出したい気持ちも痛いほどわかって、
そうしないと、GHGとともに途上国の成長もキャッピングされてしまう
ような気持ちになるから、ではないか。
実際に途上国が今回のような主張を繰り返さなくてはそうなったであろう
可能性は高いと思うし、途上国と先進国という関係性が維持されてしまう
蓋然性も高いと思う。


ただし、どこまでも責任論を持ち出しても、どこにもいけないことは
先進国にも途上国にも了解済みなんだと思う。
折り合いをつけるための応酬、と考えるのがここのところの会合なのではないか。

したがって、コペンハーゲン合意のようなこととなる。留意、ではあるけれど。
基本的には途上国への資金環流メカニズムを整備した上で、
途上国の参入を促す、という形だ。
原則論では上でみたような形式的な馴れ合いがどこまでも続いてしまって、
現実的には、たぶんこれ以外の方法はない。

こうなると、問題点はどこに出てくるか。
ひとつには、折り合いのつくファイナンスを先進国が提供できるか、
ということだろう。実質費用ではなく、出せる費用、ということになる。
もうひとつは、新興国の扱いだ。たとえば中国はファイナンスを拠出する側か
受け入れる側か。むずかしいところだ。



僕のアイディアは市場を使う、ということだ。
マルチカーボンアカウンティングの応用版。
すでにカーボンクレジットなどの排出権市場が確立されつつあるが。

①すべての商品に排出権価格を上乗せする。
認証みたいなもの。jisマークみたいな。
自動車におけるグリーン税制みたいな、星三つ、みたいなものを僕は想像している。

②排出量の多い商品はそれに応じて高額なクレジットを払う。
日本国内に流通する商品は、すべからく排出権クレジット購入済みのものとす、と。
こうなるとどうなるか。値段があがるから物価が上昇する。
タバコ税の1/100くらいで十分だと思うけど。タバコ吸いたくなってきた。。

・・・吸ってきた。つづき。
③この規定は輸入品にも適用される。ラベルを取得しないかぎり、
国内での流通を規制する。
このアイディアの肝はこの規制を先進国内で実施してしまうことだ。
アメリカでもEUでも先進国はすべて、この規制を実施すること。
④そして得られたファイナンスを途上国へ供与する。
その理由は上で述べたとおり、「先進国はGHG排出の主因者だから」だから。
先進国が割高な商品を購入する必要がある一方で、先進国−途上国間取引には
適用しない。
これにより、確保されたファイナンスを途上国へ送る。
キーポイントは先進国間で同一実施する必要があるということ。
ある程度の協調がとれないと貧乏競争みたいになってしまう。
同じクオリティの商品でも製造過程で排出量の多いものは比較高額になる。
これによって、先進国の製造/消費過程での排出量の削減に寄与することができる。

⑤ただし、先進国内で商品を流通させたい場合は途上国もクレジットが必要となる。
だから、途上国で生産された商品を輸入する場合にはラベルを購入する必要がある。
(・・・まずいかな。これについては検討)

⑥だから、ラベルを買う人は先進国のすべてと、途上国でかつ、先進国でものを
売りたい人、となる。

このアイディアの見どころは、WHOに引っかかるだろうか、ということだ。
「公正な競争」を阻害するのは明らかだけれど、それは、今までの加害的行為の
弁済である、といわれれば、どうなのだろうか。
もうひとつは、マルチカーボンアカウンディングと同様にクレジットを取引する
のではなく、商品そのものに上乗せしてしまうことだ。

ただし、弁済行為の振りをしながら、一種の関税障壁を構築して
しまう提案を途上国は飲むだろうか。
最終的に還流しますよ、で許してくれるだろうか。
新興国は先進国にモノが売りづらくなる、ということになる。
ちょっと検討を要する。