2013年6月2日日曜日

きらびやかなメンツでシブいことしてるThe Winery Dogsさんたち

ビリー・シーン、マイク・ポートノイ、リッチー・コッツェンなんて。
なんとスーパーバンドなことでしょう。

 

これは、かこいいね。変態ぽくて。
足して3で割ってプログレ・メタルが出てきたらどうしようかと思った。

腰の据わったオーセンティックなハードロック。曲調はリッチーのソロみたいだけれど、近年の彼のレコードよりも緊張感のある演奏。これはライブ映えがするでしょうなぁ、という曲が並んでいる。
リッチーの声ってソウルフルだけど黒っぽいとはちょっと違う感じがするんだよな。ボーカリストとしては過小評価気味な気がするひとり。ギタリストだからいいんだけれど。この人、ちょっと声が太くなった?

そしてこのメンツ、不縁にされた者同士が傷を舐めあっている風景に見えなくもない。でも正確にそれに該当するのは現在のところマイクさんだけであり、ビリーさんはすでに復縁し、リッチーさんはもともと独身生活を謳歌するタイプ。

従いまして自分を殺しているのはマイク・ポートノイ。セットがシンプル過ぎます。手数をもっと増やさないと物足りなくないか。いいのか、マイク。

こんな風にシンバルの林に囲まれて土木工事に勤しんでいただいていたほうが僕にとっては自然です。もちろんグルーヴ重視というところで、タメが効いた彼のプレイはとてもハマってる。ただ、アレのあとにコレかよ、と思うだけです。


 

ビリー先輩が勝手にスケール上がってきて、リッチーとユニゾンしたりタメはったりしているのとは対照的です。そしてマイクもビリーも歌いたがりのくせにメインのバンドでは除け者にされていたので、楽しそうにコーラスとってるのをみると、なんだか微笑ましく感じます。

各人、インターセクションでの応酬はさすが。フュージョンみたい。曲調が全体的にあっさり目の味付けになってるのもリッチー風味であり、やっぱりフュージョンみたい。抑制が効きすぎているというか、どこかクールなんだよな、この人。

リッチーのギターの音色は細くてきれいで好き。今回はビリーのうるさいベースとの相性もいいみたい。
リッチーがMr.Bigに入ったときに一気に地味になってしまったのはその辺にも理由がある。ルックスには華があるけれど、演奏はあんまりエッジを立てずにブルージーで渋好み。
逆に今回みたいに3ピースでやります、ってなった方がビリー先輩が躊躇せず隙間を埋めていく感じでいいのかも。Mr.Bigの結成時に「ブルージーなハードロックがやりたかった」ビリーにとっては、このThe WineryDogsとMr.Bigはほとんど差別化できないんじゃないかな。

Mr.Bigが成功したのはブルーズロックにポール・ギルバートというポッピーなギタリストが乗っかったからだろうと。もしプラスαをこのバンドに求めるならば、もうすこし、なんというか、心に浮かぶものがあるといいな、と。
それはリッチーのソロワークスに関して、一貫して感じる物足りなさにどこか通じる。
そんな斜に構えないでさ、男前だから大丈夫だってば。

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ともあれ、あるべき場所にしっかり収まっている感じで気持よく聴けます。