2011年6月26日日曜日

なぜハノイに来て

こんなことなのか、ということではあるんだ。
ふっと、思い出したから。備忘録的に。


ちょっと昔の曲を聴く機会があったので。
Limp Bizkitの3枚目、だったっけ。2003年。
8年前、ってと大学院のころだ。計算が合う。
向かうところ敵なしの彼らが墜落した記念すべきリーダートラック。


「シャングリラ」という言葉が周囲で流行していて、なぜか想起。
見返してみるとシャングリラとはおよそ関係のないこともわかった。
なんでこの曲を思い出したんだろう。


"Eat you alive" Limp Bizkit 2003


林の中でライトがつくから、かもしれない。単純だな。
ライトがつくことによって、
林(けっこうな疎林だったけど)という場が変質するから。

怖い場所から、怖くない場所に。
人がいてはいけない場所から、人がいてもいい場所に。
猟奇的な場から、パーティー会場に。
少しだけずれる。場所を移動することなく。

彼らが逃げ出した後の、ガランとしたライトに照らされた空間は
「場」そのものは、ずれたまんま、そこに残っていることを示している。
音楽が消えても場は残る。お祭りのあとのよう。
ライトの明かりによって空間が維持されているから。
音楽はトリガーではあり、余韻である。
きっとコンセントが引き抜かれた刹那、この場は消えるんだろう。

僕は別に難しいことをいっているわけではない。
自明なこと、見たままのことを記載しているに過ぎない。

人が交歓できる場所に、暫時的に、たまたまなっているスペース。
この風景が割と好きなのかもしれない。





MI2のテーマをはじめ、「ヘヴィロック」というジャンルは
彼らのためにあったといっても過言ではなかった当時、
僕は彼らが大嫌いだったと臆面もなくいえる。
そもそもヘヴィ・ロックってなんだよ、バカ、ってことであり、
ダンスフロアにかかるロックってなんだよ、バカ、ってこと。
クロスオーバー、としたり顔で話す評論家を張り倒してやりたかった。

音の重さや硬度は自在に作り出すことができる。
個人の技量とは関係なく。個人の技量に拠っていた時代もあったんだが。
彼らはあだ花になることを宿命付けられた、寵児だった。

でもね、
負けるべき戦いにきちんと負けた彼らは、ちょっとかっこいい。
最強だったころのよりもこのレコードが好きなのはそのせいだろう。
そしてこの曲は、ちょっとスペシャルな雰囲気が、確かにある。