2008年5月25日日曜日

音が素敵

表題は、インレインボウズのことですけど。
漆塗りの音、エロい音。今まで感じたことのない色気でした。
この一点でなぜかオーセンティックなロックを意識させる仕上がりと思いました。
前作よりもはるかに。
MP3とCDの音の違い。
音の位相がクリアで、音の艶がより鮮やかな気がします。な気がします。

相変わらずレディオヘッドの音を僕はロックと分類していない気がする。
アティテュードのそれは十二分にロックだと思いますが。
ロックレコードとしてはベンズまでなのですよ。
そこから先はなんか別の何かのように思えます。

トムヨークはラップトップも含めたあらゆる楽器を等しく対置する、
という(ような)ことをインタヴューで言っていたのが面白かった。
なんかさ、バンドってドラムは一番うしろで一番でかい音を鳴らすもんだっていう
先入観があるんだよね。たまに忘れるけど。
すべての音を空間に再配置するイメージがトムにはあるんだろうか。

ラップトップは今までの楽器の立ち居地というか、音楽の位相を、たぶん破壊した。
月並みな結論ですけどスタジオ録音(レコード)はライブとは違うってことね。
端的に言えばハイファイ/ローファイの区別はもう意味がないってことだよね。
ディジタルレコーディングされてしまえば、どんな音にでも変換できる。
インレインボウズでもびっくりするくらいチープにドラムが鳴っている曲があるけれども
ちろんそういう風に録られたわけではないだろう。
それは趣向であり作者の意向に還元されてしまうんだろう。

でもさ、好きな位相で音を作りましたといわれたらどう聴いたらいいんだろう?
ギターはこれくらいのボリュームでこの音といいたような、位相が破壊される
というのは聴者も含めた、確信犯的な前提も掘り崩すことになるのかもしれないよ。
すごく自由だということは、すごくおぼつかない気持ちになるよ。きっと。
okコンピュータ以降はなんか不安を煽るんだ。
で、お前はこれをどう聴くの?って聞かれているみたいでさ。

でもでも、テクノを聴いているとそれでもいいのかとも思える。
「意味から強度へ」といったのは宮台真司。妙に納得してしまったりして。
祭りは意味じゃないものね。いかにフロアを暑くさせるか、いかにバカになるかだもんね。