間伐試驗はいろいろ長くなったのでアーカイブできるようにしました。
①課題の整理
②設計
③実施
④結果
⑤損益計算 ←イマココ
⑥今後の展望とか
我が社の駐輪場兼集会場兼酒盛り場の屋根の吹き替え。メラルーカはこんな風に使われます。メラルーカ材はこんな風にぐねぐねしてます。そもそもまっすぐな木材ってない。うまいこと使う。
だからなんだっていうのよ、ずっとそうやってやってきたじゃない。
①課題整理
②設計
③実施
④結果 につづきまして、損益計算。
最終回かと思われたのですが、やっぱり長くなったのでもう一回。
そして、データを洗いなおしていたら凡ミスを発見しました。いい意味で。ほんと凡ミス。ちょっと安心した。つーかオレの嘆きを返せ。いや、申しわけござらん。
算数嫌いな僕にこういう仕事をさせてはいけない。そもそも本来こういう煩雑な業務は敏腕秘書がやるべきであり、僕は一貫して敏腕秘書に対し白目を剥きヨダレと訓戒を垂れ流しつつハンコを押す、という役回りを切に希望している。この際コピーロボットでも可。
さしあたり敏腕秘書を欠いた状況なので自分で修正。よかったら修正した④結果を見てやって下さい。
今回の間伐は果たして儲かったのか、それとも赤字こいたのか。それが問題だ。実際には木材は売却していないのでこれはあくまでシミュレーション。それもざっくりとした。
ちなみに伐採した木材はワーカのとっつあんが自家用に持って帰った。それについては、おれはそれは知らん。
まず前回やった間伐の経費及び収益について。
・経費の部:雑草の刈払い、伐採、引き倒し、枝払い、玉切り
・収益の部:木材の売却益
くらいかな。経費に関してはこの他に選木にも手間をかけているけれど、算定しなかった。理由は次回。
まずは経費の部。
必要なデータは、ワーカの人数及び稼働時間、そして給与。まず、ワーカーの人数と稼働時間。
はい。ということで、ワーカーさんたちにはのべ23時間働いてもらいました。
こちらの標準日当は5〜10万VNDだ。2.5〜5ドル、ということですね。大都市では10ドルは越えていくと思うんだけど。学生のころ、ディズニー・オン・アイスのバイトがメシつきで8,000円だったっけ。五日市でさるお大尽に雇われていたときは時給1,200円だったなぁ。時給12ドルですよ。半年前なら15ドルですよ。あれはいい時代だった。就職後に時給換算してマクラを濡らしたも今ではいい思い出です。
とにかく、労働時間と労働強度を考えると2万VND/時間くらいが妥当と判断して、採用。時給1ドル。やっぱジャパニーズレストランを開業すべきだろうか。
そして、本当はワーカーの足代も考えないといけないような気がするけれど、ワーカーの日当を多めに見積もったため捨象。すまんな。監督員が僕だったということもあり、かなり労働集約性が薄く、ルーズに働いていただいたこともあり。そもそもそれ調べてる時間はもうない。
で、ざっくりと間伐に要した経費はこうなる。
20,000VND/h × 23 h = 460,000VND
で、これは2,000m2の経費なので1haに直すと、
460,000VND/2,000m2 × 10,000m2 = 2,300,000V ND/ha …(A) となる。
今回の間伐では大雑把にいってヘクタール100ドルちょいの経費がかかった、ということになる。たぶんチェンソーを使うとすごい捗ってもっと安く上がったと思う。これにしたって日本の20分の1くらいですね。ものにもよりますけど。
ちなみに100ドルってだいたい僕くらいの年齢(20代後半〜30代前半)のひとの月収くらい。
次に収益の部
まず今回の間伐における見込み出材量はどれくらいか。これは公社の算定式を用いたのでひ・み・つ。ただめんどくさいだけなんだけどな。結果だけ示す。
左端が胸高直径、右端が実際に売却可能なボリューム。今回の間伐で売却可能な材は6.14m3/ha。精確に言えば木材のボリュームが6m3とそれ以外に薪炭材としての売却もある。ただ計算式がややこしいので割愛。やはり結果だけ。薪炭材のボリュームは2.25m3。で、以上に単価を載せれば積算評価額が出てくる。
こんな感じ。今回の間伐材の評価額は4,287,226VND/ha(B) と出ました。
で、あとは(B)ー(A)です。
4,287,226VND/ha - 2,300,000VND/ha = 1,987,226VND/ha
おぉ、と叫んだ。事務所で。Yenちゃんに変な目で見られた。
ナニコノ日本人気持チ悪イ!と思われたことだろう。でも気にしない。
この間伐、ヘクタールあたり100ドル/haくらいの収益が出る、ということに相成りました。やりました。わずか4年生の森林で収益でました。売ってないけどね。さすがは熱帯であります。日本のもはや森林涙目であります。日本なんて4年生スギ林なんてまだオムツはいてますから。
安易に日本disも良くないと思うので補足。日本とベトナムでは木材の成長量が段違いなのは事実。その一方でここでは細い木でも売れる、ということがある。たとえば冒頭の写真。日本で売れるだろうか。規格や性能要求が高い市場では売れない。
だから、低規格材の販路がない、ということが日本の市場の問題なんだと思うよ。昔はあった足場丸太の需要は鉄パイプに取って代わられ、小径木は切捨てになったわけだから。
話を戻す。
公社の積算だと、ここに管理経費や税金を載せるのでもっと額面は下がる。でも管理経費はたぶん主伐時に一括参入すると思う(ここで計上すると2重計上になりかねずめんどくさい)のでたぶん税金がかかるだけだろう。
なんにしても、今回の間伐試行では収益が出せる見込みとなった。
以下、まとめ及び雑感。
・間伐で大事なのはあくまで主伐(最後の伐採)時に太くて大きな木を収穫すること。小松菜の間引きといっしょ。だから、なるべく残した木が成長しやすいように伐ってあげる必要がある。
・同時に、間伐で足が出ないのが好ましい。切捨て間伐をしてしまうと収益にならないから森林所有者にとっては追い銭で負担。実際、この場所では4年生ですら、やり方によっては収益が出てしまう。なのでそこを大事に。
・最後に、今回伐った多くの木は伐採時(8〜10年生)のころには枯れている。なぜか。小さい木だからだ。伐採木は徐々に負けて枯れるんだけれど、残り4〜6年の間。他の木を圧迫する。つまり4年生時点でもう、林内環境としては有害な木であった、ということだ。先に伐っておくことで、残った木の成長も良くなるし、枯れてしまう木もお金になる。
これがポイントになるかなぁと思う。
つづくのだ。あと一回な。