間伐試驗はいろいろ長くなったのでアーカイブできるようにしました。かぶってますがすみません。
①課題の整理
②設計
③実施
④結果
⑤損益計算
⑥今後の展望とか ←イマココ
感動の最終回である。大団円である。一人っきりのな。これまでの経緯は下記。
①課題整理
②設計
③実施
④結果
⑤損益計算
写真はメラルーカ植栽地の樹高測定風景。
ワーカーさんに写真とって、というとこうなる。先っちょ抑えるから待って、といっても待ってくれません。僕が撮って!って言う前に撮り終わったわー、って言われます。
一連の間伐試験を基に「ウミンモデル」を作成。そして今後の展望も。
メラルーカ間伐「ウミンモデル」のガイドライン
今回の間伐試験から考えてみた間伐の「ガイドライン」は以下のとおり。
1) 間伐対象は3〜4年生メラルーカ林
4年生だと下枝の枯れ上がりがけっこう進んでいた。つまり十分暗い状況にある。3年生くらいから間伐してあげるといいのでは。もちろん一年間の成長はハンパないので3年生だと間伐収入が落ちる可能性がある。
当初は10年生のメラルーカ林の間伐をしようと思って、メラルーカの長伐期施業(といっても20年生くらいなんだけど)との相性をみるような実験になるはずだった。それがたまたま4年生の林になって、たまたま劣勢木の枯死が始まりつつある場面に出くわした。
思わぬ方針転換だったんだけれど結果的には良かったのかな。
2) 間伐後の立木密度は6,000〜9,000本/ha 現在の成立本数から逆算して伐採率を決定
まず、メコン・デルタは木の生育を阻害するものは隣の木ぐらいしかない。山など地形影響をほとんど排除できる。日本だとこんなふうに一般化はできないし。
今回、主伐時(8〜10年生)の密度に合わせた。これより伐り過ぎると主伐収入が減ってしまうし、被災する可能性も。保育期間(8〜10年間)を考えると間伐するのはせいぜい一回きりだ。
ということで、育成期間折り返し地点あたりで、主伐時密度である6,000〜9,000本/haに合わせてしまう。
もちろん若齢級のうちに主伐時密度に落とすと気象害の被災リスクがある。考えてみると日本の気象条件ってめちゃくちゃ厳しい。台風に降雪って、ほんとヒドイと思います。こちらはほとんどスコールだけだ。
場所によって安全率に違いはある。だから今回の間伐林は要経過観察。
3)一列あたり6本残すのを目安に
2)から導き出される。今回の間伐は泥縄式に選木をやったので効率が悪かった。あんまり選木に時間をかけるのは好ましくないと考える。「選木には熟練と技術を要する」という考え方がそもそも嫌いでもある。
エンバンクメントしてあるから林帯幅はわずか10m前後しかない。植栽当初は20,000本/haで植栽木同士の距離は70cm。幅10mでは一列14本入る。これを、前後の配置をみながら6本に減らす。そうすると間伐後の密度は8,570本/haで2)の上限あたりになり都合がいい。
今回の間伐では伐採前密度が11,800本/haだから、平均して一列あたり8.3本あった。これを6本に減らすとすれば一列2本ないし3本伐採する、ということになる。
個人的には「誰でもカンタンにできる」っていうのがとても大事。
以前、御大が僕に「最近の若手技術者の技術レベル低下が嘆かわしい」と仰っていたのを思い出す。テクなしのオレのことなので、確かにそうなんだけれど、その技術レベルが低下した理由もあると思うのね。御大の望む技術レベルっていうのは「標準」じゃなくてtoo muchなんじゃないの、と。
「林業道に精進する」のはいいけれど、それはビジネスとはまた別の話。長年の技術研鑽と経験に基づくものには、価値があるだろうし高いお金が払われてもいい。でもそれは全てじゃない。目的に適した「難しさ」ってあるんじゃないか。
今回の間伐では太い木をばんばん伐って副社長に泣かれたので、ターゲットを小さい木をたくさん伐るほうに振ってある。なので予測収益は落ち込む。2,754,830VND/ha(C)
となった。
で、経費。伐採ボリュームで割り返してもいいんだけれど、そうすると材価がない2cm級が捨象されてしまう(実際は薪炭材になると思うけど)。なので伐採本数を採用。本当は太いほうが伐採経費は当然高いんだけれど、加重平均するのもめんどくさいし3cmだろうが6cmだろうが、まあ似たようなもんだ。時間ないし。
まず、
2,300,000VND/ha ÷ 3,730本 ≒ 616.62VND/本 一本あたり大体600VNDだ。
そして今回の伐採本数をかける。
616.62VND/本 × 3,230本/ha ≒ 1,991,689VND/ha …(D)
だ、そうだ。あとは同じ。 (D) ー (C)
2,754,830VND/ha ー 1,991,689VND/ha = 763,141VND/ha だ。
このモデルで間伐すると大体76万ドン≒40ドル弱/haの収入が見込める。4年生だと下枝の枯れ上がりがけっこう進んでいた。つまり十分暗い状況にある。3年生くらいから間伐してあげるといいのでは。もちろん一年間の成長はハンパないので3年生だと間伐収入が落ちる可能性がある。
当初は10年生のメラルーカ林の間伐をしようと思って、メラルーカの長伐期施業(といっても20年生くらいなんだけど)との相性をみるような実験になるはずだった。それがたまたま4年生の林になって、たまたま劣勢木の枯死が始まりつつある場面に出くわした。
思わぬ方針転換だったんだけれど結果的には良かったのかな。
2) 間伐後の立木密度は6,000〜9,000本/ha 現在の成立本数から逆算して伐採率を決定
まず、メコン・デルタは木の生育を阻害するものは隣の木ぐらいしかない。山など地形影響をほとんど排除できる。日本だとこんなふうに一般化はできないし。
今回、主伐時(8〜10年生)の密度に合わせた。これより伐り過ぎると主伐収入が減ってしまうし、被災する可能性も。保育期間(8〜10年間)を考えると間伐するのはせいぜい一回きりだ。
ということで、育成期間折り返し地点あたりで、主伐時密度である6,000〜9,000本/haに合わせてしまう。
もちろん若齢級のうちに主伐時密度に落とすと気象害の被災リスクがある。考えてみると日本の気象条件ってめちゃくちゃ厳しい。台風に降雪って、ほんとヒドイと思います。こちらはほとんどスコールだけだ。
場所によって安全率に違いはある。だから今回の間伐林は要経過観察。
3)一列あたり6本残すのを目安に
2)から導き出される。今回の間伐は泥縄式に選木をやったので効率が悪かった。あんまり選木に時間をかけるのは好ましくないと考える。「選木には熟練と技術を要する」という考え方がそもそも嫌いでもある。
エンバンクメントしてあるから林帯幅はわずか10m前後しかない。植栽当初は20,000本/haで植栽木同士の距離は70cm。幅10mでは一列14本入る。これを、前後の配置をみながら6本に減らす。そうすると間伐後の密度は8,570本/haで2)の上限あたりになり都合がいい。
今回の間伐では伐採前密度が11,800本/haだから、平均して一列あたり8.3本あった。これを6本に減らすとすれば一列2本ないし3本伐採する、ということになる。
個人的には「誰でもカンタンにできる」っていうのがとても大事。
以前、御大が僕に「最近の若手技術者の技術レベル低下が嘆かわしい」と仰っていたのを思い出す。テクなしのオレのことなので、確かにそうなんだけれど、その技術レベルが低下した理由もあると思うのね。御大の望む技術レベルっていうのは「標準」じゃなくてtoo muchなんじゃないの、と。
「林業道に精進する」のはいいけれど、それはビジネスとはまた別の話。長年の技術研鑽と経験に基づくものには、価値があるだろうし高いお金が払われてもいい。でもそれは全てじゃない。目的に適した「難しさ」ってあるんじゃないか。
「ウミンモデル」の損益試算
1〜3)を踏まえて「ウミンにおける間伐モデル」を作成。間伐前密度と間伐により生産される木材の直径は間伐試行の結果を元にしている。今回の間伐では太い木をばんばん伐って副社長に泣かれたので、ターゲットを小さい木をたくさん伐るほうに振ってある。なので予測収益は落ち込む。2,754,830VND/ha(C)
となった。
で、経費。伐採ボリュームで割り返してもいいんだけれど、そうすると材価がない2cm級が捨象されてしまう(実際は薪炭材になると思うけど)。なので伐採本数を採用。本当は太いほうが伐採経費は当然高いんだけれど、加重平均するのもめんどくさいし3cmだろうが6cmだろうが、まあ似たようなもんだ。時間ないし。
まず、
2,300,000VND/ha ÷ 3,730本 ≒ 616.62VND/本 一本あたり大体600VNDだ。
そして今回の伐採本数をかける。
616.62VND/本 × 3,230本/ha ≒ 1,991,689VND/ha …(D)
だ、そうだ。あとは同じ。 (D) ー (C)
2,754,830VND/ha ー 1,991,689VND/ha = 763,141VND/ha だ。
そんな結論でどうでしょう。もちろんもっと間伐収入を増やしたいならもっと伐ればいい。けど、その分主伐収入が減る、という関係性だ。
もっと調べると面白いと思うんだけれど、どうやら僕はもう時間切れです。
まずはこの場所で間伐をすると経費を相殺して余りあるリターンが見込めそうよ、ということが何よりも大事です。公社への恩返し。
地域的/経済的な側面からみると
間伐で計上された経費っていうのは公社にとっては確かに費用なんだけれど、カマウ省ウミン郡にとっては「この場所の仕事を増やしている」ことになる。GDP上げるぜ。ここでのワーカーとは、公社の職員だけでなく日雇い労働者も含まれる。実際、植栽や伐採は日雇い労働者も雇用していて、それは地域の農民だ。稲作の合間に彼らを雇えば彼ら自身の収入源になる。特に乾期は稲作ができないので、雇用そして所得向上が期待できる。
もちろん、とっつぁんたちがハンモックでぶらぶらしたり、昼酒を飲むのを阻止するのが本意ではない。あととっつぁんたちがくわえタバコで林に入らないといいなぁと思いますが。
以上が僕の募集要請に書いてあった「林業を通じた地域住民の所得向上」に繋がるかな、というのが僕なりの回答になりそうです。実際に所得をあげるような産業を呼び込めたわけじゃなくて、こんなモデルでお茶を濁して大変申し訳無いんだけれど。
ここには大体3万haの森林があって、仮にメラルーカが1万haを占めているとして。10年の輪伐期で回しているとしたら、最大で年間1,000haの間伐が可能。試算上は公社に4万ドルの収入を、ワーカーに10万ドルの収入をもたらす。机の上ではな。
大事なのはワーカーの時給向上だ、とか、マーケットへの過剰供給で材価が落ちるだろ普通、とか、簡単に労働力が供給されるなんてどんな大都市だバカ、とかいう小指のひと押しで瓦解しますけど。
だが止めない、この皮算用。
そんな将来を思い描くことだって可能だし、ウミンはその可能性のある土地だと僕は思っています。観光地ではない、普通の農村なりに発展する方法の一つとして。
そんな結論で公社と人民委員会への報告書を書き終えたところです。もちろんベトナム語でな。現在怒涛のような直しを受けているところだ。そんなところで「僕からみた」メラルーカ林の間伐試験を終わろうと思います。ああ、おもしろかった。
そして、読んでくださった方、どうもありがとうございます。長くなってすみません。
あ、試験そのものはまだ続きますよ。残り6年。
残りのことは、こちらのみなさまにお任せします。